目次
配送代行とは、配送業務を始めとする物流業務を外部に委託することです。
EC市場やサブスクリプションサービスの拡大により配送業務に苦労する企業が増えたことで、注目されるようになりました。
配送代行は主として配送業務の代行を行いますが、実際には倉庫管理や入出庫業務など他の物流業務もまとめて委託できるケースがほとんどです。
そのため、配送業務だけでなく物流業務全体の効率化や人材不足の解消につながるところが大きな魅力です。一方で、配送代行は業者により委託できる内容に差があるため、あらかじめ主な業務内容や費用を把握し検討することが欠かせません。
そこでこの記事では、配送代行の業務内容やメリット、配送代行業者の選び方など配送代行に関する基礎知識をまとめてご紹介します。
【この記事を読むと分かること】
・配送代行とは
・配送代行の業務内容
・配送代行が注目される背景
・配送代行を活用する4つのメリット
・配送代行を活用するときの注意点
・配送代行の活用が向いているケース
・配送代行業者の選び方
この記事を最後まで読めば配送代行のメリットや魅力が把握でき、活用を検討できるはずです。自社に合う配送代行業者を選ぶためにも基礎知識は必要となるので、ぜひ参考にしてみてください。
配送代行とは、商品の配送業務を始めとする物流業務を外部に委託することです。昨今はEC市場やサブスクリプションサービスの拡大により、日本国内の宅配便の取り扱い数が増加しています。
国土交通省が公表している「令和2年度宅配便取扱実績について」によると2020年度の宅配便取扱個数は48億3647万個となっており、前年度から約11.9%も増えているのが現状です。
消費者に届ける商品量が増加すると、荷主となる企業が配送業務に時間と労力を費やすことになります。場合によってはコア業務に集中できず、物流業務に時間を割くことになるでしょう。
そこで、注目されるようになったのが、荷主に代わって配送業務を行う配送代行です。主として配送業務の代行を行いますが「3.配送代行の業務内容」で解説しているように、配送業務にとどまらず入出庫業務や倉庫管理、梱包などの物流業務を一括して委託できる業者がほとんどです。
次の章では、配送代行ではどのような業務を委託できるのか詳しく解説していきます。
配送代行では、主に下記の業務内容が委託できます。
ただし、どの業務内容を委託できるのかは業者によって大きく異なるので、事前の確認が必要です。配送業務はもちろんですが、どのような物流業務を委託できるのか参考にしてみてください。
入荷とは、発注した商品が倉庫などの保管場所に届くことを指します。商品が届いたらまずは、車両から商品を下ろす作業を行います。
家電製品や家具などの大型商品や取り扱いに注意が必要な商品を降ろすときには、安全性を確保しながら作業を行います。場合によってはフォークリフトなどの運搬車両を使いながら、荷降ろしをするスペースに商品を置いていきます。
入荷後には、入荷した商品が適切な商品なのか確認をする検品作業を行います。
適切な検品ができていないと、発送時や在庫管理時のトラブルにつながります。例えば、入荷時の破損を見逃していると、いざ出庫をする際に適切な商品を用意できなくなります。
検品では
・発注した商品と合っているか
・発注した個数と合っているか
・商品に破損や異常はないか
を目視でしっかりと確認します。扱う商品によっては、追加の検品項目を設けて入念な検品をすることがあります。例えば、衣類の検品では、ボタンやファスナーなどの付属品の有無や縫製のほつれの有無を細かく確認します。もちろん、製造工場でも随時検品を実施していますが、入庫前に再度実施することも多いです。
検品は目視での確認と同時に、倉庫管理システム(物流倉庫内の在庫や入出庫の管理を効率化するシステム)を活用することが増えています。バーコードでスキャンをしたり端末に情報を打ち込んだりすると、発注情報との照らし合わせや在庫数の更新ができ随時最新の情報を反映できます。
検品作業は入庫時だけでなく工程ごとに行うなど、取り扱う商品によって検品の回数や検品をするタイミングが異なります。
入庫とは、届いた商品を定められた保管場所に入れることを指します。車両から降ろした商品をそのまま出庫するケースを除き、商品を物流倉庫や物流センター内に保管します。商品の保管方法には、主に下記の2種類があります。
固定ロケーションとは、常に同じ場所に同じ商品を保管する方法です。保管場所が変わらないため、作業や管理がしやすいところがメリットです。
一方で、フリーロケーションは、商品の保管場所を固定せず臨機応変に対応する方法です。商品量の変動が激しい場合は、保管場所を固定してしまうと対応できないことがあります。
今までの知識や経験を活かして、保管スペースを有効活用できるよう工夫しながら保管場所を決めていきます。
また、入荷時には商品に応じて、セット組を行うケースもあります。セット組とは複数の商品を1つとして扱うために、商品をまとめる作業です。
例えば、コップとソーサーをセットにして販売している場合は、入庫時にコップとソーサーをセットにした状態で保管をします。この段階でセット組にしておくと、在庫管理や出庫作業がしやすくなります。
商品の注文が入るまでは、倉庫や商品の保管スペースを使い一時的に保管をします。保管をするときは、下記の3つが重要となります。
1.商品の品質を保つ
商品の保管中に品質が劣化し出庫できなくなることがないように、商品の品質を維持します。具体的には、温度や湿度、光量などの保管環境を調整して商品に最適な環境を保ちます。
例えば、食品を保管する場合は倉庫内の温度を適温に保ち、直射日光や湿気を避けるよう配慮します。
2.在庫の管理を行う
実際の在庫数とデータ上の在庫数に相違がないように、在庫数の管理を行います。誤った在庫数が登録されていると出庫作業をする際に欠品してしまう可能性があるからです。
定期的に棚卸しをして在庫数を確認し、在庫管理票や在庫管理システムに反映されている在庫数と一致しているかチェックを行います。
3.商品をピッキングできる状態にしておく
ピッキングとは、保管されている商品から注文の入った商品を集める作業です。在庫管理が雑だとピッキング作業に時間がかかり、出庫までに時間を要する可能性があります。
注文が入った際に素早くピッキングができるように、整理整頓や取り出しやすさを考慮した保管が必要です。
帳票発行とは、物流業務で発生する事務作業のことです。
・運送会社ごとの伝票発行
・請求書や納品書、明細書の発行
・受注や発注データの作成、送信
など、物流業務を行うときに発生する業務を指します。注文量が増えると請求書や送り状、納品書などを数多く発行しなければならないため、事務業務が大きな負担となります。
配送代行では納期や期日に合わせて帳票発行ができるのはもちろんのこと、データの保管や共有方法を工夫しながら進められるケースもあります。
商品の注文が入ったら、指示に従いピッキング作業を行います。ピッキングの方法は、下記の2種類が主流です。
シングルピッキングは、注文ごとに商品を集める方法です。例えば、テレビの注文が入った際は、該当のテレビを集めます。作業がシンプルなので取り組みやすいですが、注文が増えれば増えるほど保管スペースを何度も往復しなければならないため従業員の負担が増えます。
トータルピッキングは複数の注文分にまとめて対応し、収集後に個別の注文に分ける方法です。例えば、テレビ、ポット、フライパンの3つの別の注文が入ったら、一度に3つの商品を集めます。一度の往復で多くの注文に対応できるため、注文量が多いときに向いています。
ピッキングは地図や指示書を見ながら手作業で集める方法が主流でしたが、最近では音声で指示を行うシステムやピッキングをサポートするシステムの活用も増えています。
仕分けとは、ルールに従い商品を分類する作業です。出荷する商品は、倉庫内に保管されている商品ばかりとは限りません。
入荷した商品を保管せず、そのまま出荷を行うこともあります。その場合は、仕分けで出荷先や商品ごとに分類します。例えば、スーパーマーケットや百貨店などの複数の店舗に商品を届ける際は、店舗ごとに商品の仕分けを行います。
仕分けで間違えると商品の誤配送につながる可能性があるので、精度の高い作業が求められます。最近は、物流システムを活用し自動で仕分けをした後に、手作業で細かく確認をするハイブリッド型での仕分けが増えています。
仕分けやピッキングをした商品は、商品に応じた梱包を行います。基本的には商品のサイズに合う段ボールや封筒に詰めて、配送時の破損や汚れを防ぎます。割れ物や精密機器は緩衝材を使用したり小さな商品は袋に入れて分かりやすくしたりと工夫をしながら行います。
一部の配送代行業者では
・ラッピングの対応
・チラシやクーポン、カタログの同封
・ノベルティや試供品の同封
などの対応が可能です。梱包方法が複雑になると手間が増えるため、オプション扱いとなりコストがかさむ可能性があるので注意しましょう。
また、配送代行業者によっては、流通加工ができる設備を備えていることがあります。流通加工は商品の価値を向上させる加工全般を指すため、加工内容は多岐に渡ります。例えば、
・食品の小分け作業
・衣類やタオルへの値札、タグ付け
・生鮮食品の二次加工
・電子機器の簡単な組み立て
などが当てはまります。例えば、すぐに実店舗に陳列できるようにバーコードやタグを貼り付けるのも流通加工の一つです。食品加工や機器の組み立てなど流通加工の内容によっては専門性が高くなるので、専門の従業員を配置していることもあります。
出庫とは、商品を配送会社に渡すための準備作業のことです。出庫では、主に下記の2つの業務を行います。
1.伝票の貼り付け
出庫をする商品に、運送会社の送り状を貼り付けます。倉庫管理システムや出荷伝票と照らし合わせながら、住所と氏名、商品に誤りがないか再度確認をして伝票を貼っていきます。海外輸送する際は、対象国のルールに従って送り状を作成します。
2.車両に積み込みをする
梱包した商品をパレットの上に載せて、安全性に配慮しながら車両やコンテナに積み込む作業をします。(商品によってはパレットを使用しない場合もあります)商品に関する注意事項がある場合は、ドライバーに共有をして破損などの異常がない状態で消費者の手元に届くよう配慮します。
配送は、車両に積み込んだ商品を消費者のもとに届ける作業です。配送代行業者によって、自社に運送部門を持っている場合と運送会社と連携をしている場合があります。
最近は配車配車管理システム(商品を出荷してから消費者に届けるまでの輸配送を管理するシステム)を導入して、配送状況をリアルタイムで確認できることが多いです。今どこに商品があるのか随時確認ができるため、安心して任せられます。
また、海外への輸送に対応している場合は関税の処理や手続きを代行し、スムーズな輸送を行います。海外への輸送は国によって複雑な処理になることがあるので、配送代行を活用するとスムーズに輸送できます。
配送代行業者によっては、返品や交換などのアフターフォローを行っている場合があります。返品や交換対応については消費者からの意見を聞き、交換品や他の商品を届けることになればすぐに手配を行います。
注文量が多くなると返品や交換の問い合わせは、一定数発生するものです。その度に企業側が対応していると、意外と手間がかかります。物流代行業者がアフターフォローを含めて行ってくれることで、手間や労力を大幅に削減できます。
ここまで解説した業務は、配送代行の主な業務です。初めに述べたようにこの業務を網羅している配送代行業者もいれば、一部の業務のみに対応している配送代行業者もいます。必ずしも、すべての配送代行業者が上記の業務を行っているわけではないので注意してください。
配送代行が注目されるようになったのは
・EC市場が成長を続けている
・越境ECの市場規模が拡大している
という2つの背景があります。配送代行が注目を集める理由を知るためにも、ぜひチェックしてみましょう。
EC(electronic commerce:電子商取引)とは、インターネット経由での商品やサービスの売買を指します。通信販売やインターネットショップなどが当てはまります。
経済産業省が公表している「令和2年度電子商取引に関する市場調査」を見ると、BtoCのEC市場規模は年々拡大していることが分かります。とくに近年は物販系分野の伸長率が高く、2020年の伸長率は21.71%となっています。
出典:経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」
物販系は消費者に商品を届ける物流業務を必要とする分野なので、市場が拡大し注文量が増えると配送業務を始めとする物流業務に手が回らなくなります。
そこで、自社では対応しきれない物流業務を委託し、配送業務や物流業務にかかる労力や時間を減らす動きが出ています。
EC市場が拡大しているのは、国内のみではありません。日本から中国やアメリカなどの海外に売買をする越境ECの市場規模も拡大しています。
2020年度の越境ECの市場は下記のように前年比を上回っており、海外の消費者からの需要の高さが伺えます。
参考:経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」
越境ECを導入する企業やECが増えると、国内だけでなく海外向けの配送業務が発生します。海外配送は規制や梱包方法を理解しながら行わなければならないため、国内配送よりも準備に時間や知識を要します。
そこで、配送業務に関する知識がある配送代行に委託をして、円滑に海外配送を行える基盤を構築するケースも増えています。
配送代行を活用するメリットとしては、次の4つが挙げられます。
配送代行を検討する際に知っておきたいポイントばかりなので、ぜひチェックしてみてください。
1つ目は、配送を始めとする物流業務のミスを削減できるところです。日々の注文量が増える中、すべての物流業務を自社で行っているとどうしてもミスが発生しやすくなります。
とくに配送業務でミスをすると消費者に大きな影響を及ぼすため、トラブルや顧客満足度の低下につながり兼ねません。例えば、予測以上の注文量があり手配をしていた車両では配送しきれないとなると、納期までに配送できない可能性があるでしょう。
配送代行を活用すると、配送業務をプロフェッショナルに任せられるためミスを軽減しながら効率よく配送ができます。
また、委託先によっては倉庫管理や入出庫などの物流業務をまとめて委託することも可能です。物流業務を一元管理する仕組みやシステムを構築しているので、ミスを防ぎながら品質の高い物流サービスを提供できます。
2つ目は、コア業務と配送業務、物流業務を切り離すことで業務効率化ができるところです。注文量が多いとどうしても物流業務に費やす時間が長くなり、本来の業務に注力できなくなります。
とくに配送業務は出荷する商品がある限り毎日発生するため、一定の時間を割かなければなりません。その結果、機会の損失や収益の低下を招く可能性があります。
配送代行を活用すれば、配送業務とコア業務を切り離すことができます。委託先によっては物流業務全般とコア業務を切り離すことも可能なので、本来取り組むべき業務に集中できます。目標達成や課題解決のスピードが上がり、業務効率化や事業拡大へとつながるでしょう。
3つ目は、物流業務や配送業務に携わる人材不足を解消できるところです。
現在、配送を始めとする物流業界は深刻な人材不足に直面しています。
物流に携わる人材が少ない現状がある中で、新たに人材を確保し育成を行うことは非常に大変です。とは言え、配送業務や物流業務は適切な人員を確保できていないと進まないので、納期の遅延やサービスの低下を招く可能性があります。
配送代行は物流業務に携わる人材を確保できているため、人材不足や人材育成に悩むことがありません。例え注文が増加し配送量が増えたとしても運営できる仕組みが整っているので、滞りなく物流業務を行うことが可能です。
4つ目は、配送代行の委託先によっては在庫管理や在庫保管ができるところです。昨今の配送代行は配送業務だけでなく、他の物流業務もまとめて委託することが一般的です。
中でも、物流倉庫や在庫管理スペースを保有している業者が多く、適切な環境で在庫管理や在庫保管ができます。配送代行の委託先に在庫の保管を依頼できれば、自社で在庫を保管する必要がなくなります。
つまり、大量の商品を保管する倉庫やスペースの確保が不要となるのです。家具や電化製品など大型の在庫を抱えている場合は、自社保管を辞めることで人員や倉庫が不要となりコスト削減につながる可能性があります。
配送代行を活用するメリットが把握できたところで、気になるのは配送代行を活用するときの注意点です。
配送代行を活用する際の注意点を知っていると、注意点に気を付けながら導入の準備ができます。どのような点に注意をするべきか、チェックしておきましょう。
配送代行は物流業務を仕組み化、パッケージ化していることが多いので、柔軟な対応が難しいです。
・指定顧客の商品のみラッピングをして配送する
・指定顧客の商品を優先して配送する
・顧客の注文に応じてチラシやクーポンを同封する
など自社作業ならできることでも、セグメントをしながらの個別対応ができないことが多いです。対応できたとしてもオプションや別途費用がかかる可能性があります。
また、委託先の物流システムによっては一部自動化をしていることもあるので、そもそもイレギュラーな対応ができないことも考えられるので事前にチェックしておきましょう。
配送代行を利用するには、委託先と顧客情報や取引先情報、自社の物流の状況などを共有しなければなりません。
今までは自社内で管理していた情報を外部と共有することになるため、必然的に情報漏えいリスクが高まります。そのため、自社内の情報だけにとどまらず、委託先と共有した情報のセキュリティ対策や保護方法を考えなければなりません。
個人情報保護法が改正され更に情報の取り扱いに対するリテラシーを求められるようになってきているので、委託先と協力しながら情報管理に取り組む必要があります。
配送業務や物流業務を外部に委託してしまうと、物流に関する知識と経験が蓄積されません。
注文量が更に増えたときには物流業務をインハウス化(自社内で物流業務を行うこと)したいと考えている場合は、いざ移行しようとしたときに人材確保や人材育成、そして知識を養うところから始めなければなりません。
今後も物流業務とコア業務を切り離して運営していきたいと思っている場合はいいですが、インハウス化を目指している場合は委託に頼り過ぎると経験や知識が乏しくなってしまいます。
配送代行では、委託したい業務に応じて下記のような業務で費用が発生します。(内訳は委託先によって異なります)
基本的には扱う商品量が多ければ多いほど、コストがかかります。また、委託する業務内容が多い場合や工程がかかる場合も、コストが高くなります。
例えば、配送のみを委託する際は配送料しかかかりませんが、倉庫管理や入出庫業務も委託すると他の費用がかかりその分コストが増えていきます。無理なく委託できるコストか考慮しながら、検討を進めてみましょう。
「配送代行を活用するタイミングが分からない」という担当者の方も多いかと思います。そこで、配送代行の活用が向いているケースをご紹介します。
配送代行を活用するメリットが大きいケースが分かるので、ぜひ参考にしてみてください。
ECや事業の立ち上げ時は自社内で物流業務ができても、注文量が増えると対応が難しくなるケースがあります。
無理に自社内で行おうとするとコア業務が疎かになったり物流業務への投資が必要となったりするので、配送代行の活用が向いています。
配送代行は自社内で対応が難しい業務範囲に応じて委託ができるため、コストと負担軽減の両者を考慮しながら導入ができます。
・注文量が多く自社での物流業務対応が難しい
・コア業務に集中できるように物流業務を切り離したい
という場合には、配送代行を検討してみるといいでしょう。
自社で配送業務や物流業務を継続したくても、人材が確保できなければ一定の品質を維持できません。
例えば、明らかに人材不足の状態で多くの物流業務を行おうとすると、どうしてもミスが増えてしまいます。一人一人の負担も増えて、モチベーションを維持することが難しくなることも考えられます。
5章の中の「人材不足を解消できる」でも解説したように、物流業界は深刻な人材不足です。その中で、採用活用や人材育成を継続することは時間やコスト、労力がかかります。
・配送業務や物流業務を担う人材が不足しており確保が難しい
・新たな人材確保や人材育成に費やす時間やコストが捻出できない
という場合は配送代行を活用することで人材不足を解消し、自社で人材育成をしなくてもクオリティの高いサービスを提供できるようになります。
季節やイベントに応じて商品の注文量に大きな差があると、自社での物流業務の運営が非常に難しいです。最大稼働時に合わせた商品の保管スペースが必要なのはもちろんのこと、業務量に応じた人材の確保をしなければなりません。
配送代行は注文量に差があっても安定した物流業務ができる仕組みが整っているため、注文量が増えたとしても難なく対応できます。
また、段ボール1個ごとやパレット1枚ごとなど費用の単位が細かい委託先もあるので、注文量に応じたコストしかかからないところもメリットです。
・季節商品を扱っているため注文量の変動が大きい
・母の日やクリスマス、バレンタインデーなどのイベント時に対応できない
という場合は、配送代行を活用することでコストを抑えながら安定した物流業務や配送業務ができます。
最後に、配送代行業者を選ぶときに知っておきたい4つのポイントをご紹介します。
配送代行は業者によって業者内容やコストが大きく異なるため、業者選びが非常に重要です。自社に合う配送代行業者を選択するためにもぜひ参考にしてみてください。
まずは、配送代行に委託したい業務内容をカバーできているか確認をしましょう。「3.配送代行の業務内容」でも解説しましたが、委託先によって対応している業務が大きく異なります。
配送業務のみを委託できる場合もあれば、配送業務と倉庫管理をまとめて委託できる場合もあります。委託したい業務に対応しているか把握して、業務内容をカバーしている業者を比較してみてください。
とくに注意をしたいのは、細かな委託内容です。梱包業務はできてもラッピングには対応していないなど、細かな業務内容に差が出るため細部まで確認しておくと安心です。
配送代行のランニングコストを左右するポイントは、注文量と委託業務内容です。
配送業務や倉庫管理業務は、パレットやケース、ロットごとに価格を算出することが多いです。そのため、注文量が多いとパレットやケース数が多くなり、コストがかかります。
また、委託する業務内容が多いと変動費が増えるため、コストが高くなる傾向があります。例えば、配送業務のみ委託するよりも、配送業務と倉庫管理業務を委託するほうが業務内容が増えるためランニングコストがかかります。
このように、委託する業務内容と注文量に応じて、どの程度のランニングコストがかかるのか算出して検討してみましょう。
倉庫管理業務や在庫保管業務を併せて委託する際は、物流拠点となる倉庫の立地を確認しましょう。いくらサービスが魅力的でも立地が悪いと、配送時のコストがかさむ可能性があるからです。
一例としてヤマト運輸の配送料を見てみると、関東圏から60サイズの商品を配送した場合に地域により1個当たり400円以上の差が生まれます。
参考:ヤマト運輸「宅急便運賃一覧表:全国一覧」
例えば、関東圏の顧客が多いのにも関わらず中国地方の倉庫で商品管理をすると、配送コストが高くなる、配送に時間を要するという事態に陥ります。国内の配送だけでなく海外配送がある場合は、空港との距離や配送コストも考慮する必要があります。
・配送コストがかさまない立地となっているか
・配送料や配送にかかる時間は適切か
など、商品管理をする施設の立地により余分な配送コストがかからないか確認してみてください。
配送代行業者を選ぶときは、取り扱い商品との相性も考慮すると選びやすくなります。例えば、国内外への配送が必要な場合は、海外配送に対応していることが欠かせません。
また、ECで個別のラッピング対応を設定している場合には、ラッピングに対応できる配送代行を検討する必要があるでしょう。
他にも、生鮮食品や冷凍加工食品など温度管理が必要な食品を扱っている場合には、倉庫管理の設備や配送方法が対応しているか確認しなければなりません。
このように、取り扱い商品に応じた適切な対応ができる設備、サービスを用意しているかどうかも念頭に置いて検討してみてください。
WareX(ウェアエックス)は、シェアリング型の新しい倉庫寄託サービスです。バッファ倉庫や分散型倉庫など利用シーンに応じた倉庫の活用ができます。WareXならではの強みは、次の4つです。
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WareXには、日本全国の倉庫が登録されています。物流拠点や営業所の近くなど、倉庫が必要な場所に応じて利用できます。
2,コストが日割り計算で分かりやすい
保管料は日割り&パレット建て、作業料はパレット建てと分かりやすい料金設定です。保管料は日割りなので倉庫を使った日数分しかコストが発生しません。
3,倉庫のオペレーションはオンラインで一元管理
オンライン上で倉庫の検索から清算までを完結できるため、管理者さまの手間や労力を最小限に抑えられます。
4,手配するのは輸配送のみ
国の認可を得た安心安全な倉庫で商品をお預かりします。機器や作業員、備品の手配は不要です。輸配送のみの手配で利用できるので、幅広いニーズに対応できます。
WareXは、最短3日での利用開始実績があります。全国の倉庫を検索、空き確認を済ませればすぐに契約をして利用を開始できます。
倉庫の確保や在庫の管理にお困りの場合は、ぜひ利用してみてください。
いかがでしたか?配送代行とはどのような委託サービスなのか把握でき、自社での導入を検討できるようになったかと思います。
最後にこの記事の内容をまとめてみると
〇物流代行とは商品の配送業務を始めとする物流業務を外部に委託すること
〇物流代行で行える主な業者内容は下記のとおり
〇配送代行が注目されている背景は次の2つ
1)物流業務が多いEC市場が成長を続けている
2)国内EC市場だけでなく越境EC市場の規模も拡大している
〇配送代行を活用するメリットは次の4つ
1)配送を始めとする物流業務のミスを軽減できる
2)コア業務に集中できる環境が作れるので業務効率化につながる
3)物流業務に携わる人材不足を解消できる
4)在庫管理をするスペースが不要となる
〇配送代行を活用するときの注意点は次の3つ
1)自社で物流業務を行うときのような柔軟な対応が難しい
2)個人情報や取引先情報を共有しなければならないため管理が複雑化する
3)将来的にインハウス化を検討している場合は知識やノウハウが蓄積できない
〇配送代行の委託内容に応じて必要な費用は下記のとおり
〇配送代行の活用が向いているのは下記のケース
1)自社での作業では物流業務が追いつかない場合
2)物流業務を行う人材の育成や確保が難しい場合
3)シーズンやイベントによって注文量に差がある場合
〇配送代行業者を選ぶときのポイントは次の4つ
1)配送代行に依頼する業務内容を確認する
2)ランニングコストを確認する
3)保管場所の位置を確認する
4)取り扱い商品との相性を確認する
この記事をもとに配送代行の特徴やメリットが把握でき、自社に合う配送代行業者の導入が検討できることを願っています。