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物流のBCP対策は必ず作成すべき!4つの基本構成と作成内容を解説

# BCP
# リスク管理
2022-06-09
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はじめに

「BCP対策という言葉は知っているが具体的な内容がわからない」
「業務時間を割いてまでBCP対策を行う必要があるの?」
「BCP対策を計画したいがどんな内容を盛り込めばいいのか全くわからない」

BCP対策という言葉を聞いたことがあっても、その重要性や計画を作成する手順を知らないという企業も多いのではないでしょうか?

物流のBCP対策とは、災害やシステム障害・感染症といった予測不能な事態が起こった時に、物流を中断せずに稼働できる体制を構築することです。

つまり、BCP対策の計画書を作成することで、万が一のトラブルに対応できる体制を整えることができます。

しかし、BCP対策の目的や内容を把握しないまま作成してしまうと、せっかく立てた計画がトラブルの時に意味をなさない可能性があります。

万が一の時に、物流を滞りなく稼働させるためにもBCP対策は必要不可欠なので、今回は以下の内容について解説していきます。

【この記事を読むと分かること】
・物流のBCP対策とは
・物流のBCP対策はすぐに着手すべき
・物流のBCP対策の作成前に確認しておくべきチェックリスト
・物流のBCP対策作成の基本的な構成
・物流のBCP対策の具体的な作成方法

この記事を読むことで、物流の事業でBCP対策の重要性や具体的に作成する手順がわかるので、ぜひ最後まで読んでみてください。

物流のBCP対策とは

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BCP対策とは、企業が緊急時に事業を継続するための手段を決めておく計画で、緊急時の被害を最小限に抑えるために作成する必要があります。

物流のBCP対策も同様に、災害やシステム障害・感染症といった予測不能な事態が起こった時に、物流を中断せずに稼働できる体制を構築するために作成します。

BCP対策を行っていないと、万が一の時に迅速に対応できず

・物流を止めざるを得ない
・事業再開までに時間がかかる
・顧客からの信頼を失う
・倒産する可能性がある

このように、事業を運用するのが難しい状況に陥る可能性が高くなります。

物流におけるBCP対策は、物流の体制に焦点を当てた対策なので、トラブルが発生した時に〈物流機能の維持〉〈物流機能の早期復旧〉を図るための計画書です。

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そのため、「防災対策」と混同されがちですが目的が異なるので要注意。防災対策は、耐震補強や防火設備の設置、避難訓練などがメインとなるので、有事の際に物流の体制を整えるには不十分です。

防災対策は、人命や建物・機材といったものを守るための準備で、BCP対策は防災対策で抑えきれなかった部分の復旧を整えるための計画書のようなイメージです。

BCP対策を行っていないと、万が一の時に物流が滞ってビジネスが成り立たず、企業にとって大きなダメージとなってしまうので、物流に関連する事業を行っている企業ではBCP対策の作成は必要不可欠と言えます

物流のBCP対策はすぐに着手すべき

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なぜ物流でBCP対策をすべきなのかというと、物流がもっとも災害時に影響を受けやすいからです。

実際に、大型台風による大規模停電や強風被害で被災した建築業のA社は、物資・資機材等が入らないことで住宅等の復旧が遅くなったと語っています。

また、東日本大震災では東北新幹線・東北線・東北自動車道がいたるところで寸断され、東北に拠点を置く企業の商品が一般に流通できなくなり、「スムーズな代替ルートへの切り替え方」「迅速に部品輸送ができるプラン」が物流の課題となりました。

このように、災害時に物流のダメージを最小限におさえることが最大の課題となっているので、物流におけるBCP対策は重要な役割を果たします。

しかし、平成29年度の内閣府の調査によるとBCPの策定率は、 大企業(64.0%)・中堅企業(31.8%)・その他の企業(34.7%) と低い結果となっています。(参考:内閣府「令和元年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」)

毎日の煩雑な業務の中で「いつ来るかわからない有事」の準備は後回しになりがちですが、企業に大きな損害を出さないためには「いつ何が起きてもおかしくない」という考えにシフトチェンジすべきです。

BCP対策を怠って、有事の際に事業が再起不能になったり、再開までに膨大な時間とお金を費やすよりも、日々の業務時間を削ってでもBCP対策に着手すべきということは、火を見るよりも明らかではないでしょうか。

BCP対策の有無が企業の将来を左右すると言っても過言ではないので、すぐにでもBCP対策の作成に取り掛かりましょう。

物流のBCP対策作成の基本的な構成と作成方法

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BCP対策が重要であることが理解できても、どのような内容を作成すればいいのかわからず後回しにしてしまっている企業も多いのではないでしょうか?

BCP対策では決められたフォーマットがないので、闇雲に作成しようと思ってもできるものではありません。

そこで、国土交通省が作成した「荷主と物流事業者が連携したBCP策定のためのガイドライン」と、日本物流団体連合会が作成した「自然災害時における物流業のBCP作成ガイドライン」に沿って基本的な構成の例を紹介します。

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物流におけるBCP対策のガイドラインは大規模な地震災害を想定して作られていますが、その他の災害やトラブルなどのBCP対策を作成したいというケースもあるかと思います。

その場合は、上記の基本構成の「防災」の部分を「豪雨災害」「パンデミック」「システム障害」などに替えて作成してください。

それでは、ガイドラインに沿った構成内容で、物流に関するBCP対策の具体的な作成方法を解説していきます。

防災対策

防災対策の項目では、災害が起こった時に被害を最小限にするための計画を作成します。 すでに防災対策を行っている企業でも、実際に大規模な災害が起こった時に「対策が不十分だった」ということは多々あるので、見直すという意味でも以下の項目を確認してみてください。

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参考:国土交通省「ハザードマップポータルサイト

備蓄については、食料品の賞味期限が切れていた・電池が切れていて懐中電灯が使えなかったという失敗もあるので、準備をするだけでなく定期的に中身のチェックを行うようにしましょう。

災害直後の措置

災害直後の措置の項目では、避難から支援体制の整備までの流れを「誰が・いつ・どこで・何を」
行うのか計画を立てます。

災害発生後は冷静な行動がとれないことが予想されるので、「自社のBCP対策を見れば大丈夫」というレベルまで行動基準を具体的に決めておくことがポイントです。

災害発生後の措置の流れと何を決めておくべきなのかについては、以下の①〜⑥の手順を参考に計画してください。

1) 避難
避難の項目では以下の内容を決めておきましょう。
・指揮をとるリーダー
・避難経路と避難場所

その際の注意点やポイントとしては、海に近い場合は津波を想定した、高台への避難・船舶を着岸させておくのか、離岸させ沖合に避難するのかも決めておくことが大切です。

2) 災害対策本部の設置(BCPの発動)
災害対策本部の設置の項目では以下の内容を決めておきましょう。
・社内の災害報告者
・災害対策本部の設置場所
・BCPを発動する条件(震度6以上など)
・BCPの発動者

その際の注意点やポイントとしては、各担当者が不在の可能性も考えて、代務を決めておくと万全です。(例:三交代制なら、朝・昼・夜のメンバーで決めるなど)さらに、BCPを発動する人がいないと行動できないケースが多いため、発動者も決めておきましょう。

3) 安否確認
安否確認の項目では以下の内容を決めておきましょう。
・携帯電話以外の通信手段
・社員リストの作成
・緊急連絡網の作成

その際の注意点やポイントとしては、携帯電話や固定電話の通信手段は途絶する可能性が高いため、「災害用伝言ダイヤル(171)」などの活用を検討し、社員が常時所持できるように使い方のカードを作成しておくことをおすすめします。

4) 被害把握
被害把握の項目では以下の内容を決めておきましょう。
・本社以外の被害情報を確認や報告をする担当者
・車両、機材、施設や倉庫のリスト作成

その際の注意点やポイントとしては、被災状況を迅速に確認するために、物流を稼働させるために重要となる物のリストを作成しておくと迅速に対応することができます。

5) 関係先への連絡
関係先への連絡の項目では 「関係先連絡リスト」 を決めておきましょう。
その際の注意点やポイントとしては、被災時に連絡を取る必要のある関係先を洗い出しておくことで、被災状況や今後の動きを判断することができます。

6) 社内での支援体制の整備
社内での支援体制の整備の項目では 「災害時の人員配置や備蓄物資の輸送方法」 を決めておきましょう。

その際の注意点やポイントとしては、本社が被災した場合でもその他の拠点が行動できるように、各拠点でも支援体制を整備しておくことが重要です。

東日本大震災では、社内の倉庫内を確認しようとしたり、車両を守ろうとして逃げ遅れてしまったという事例があります。

そのため、災害時の第一優先順位は「人命」ということを忘れないでください。

災害発生時は、上記の手順(1. 避難〜6. 社内での支援体制の整備)で行動するように、従業員に徹底して指導するようにしましょう。

復旧対策の実行

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復旧対策の実行の項目はBCP対策のメインとなる、災害時に物流を稼働させるための内容なので最も重要な項目です。

災害時にパニックになってしまっても、BCP対策の内容が具体的に決められていると、物流を稼働させる体制に整え直すことが可能となります。

災害発生後に事業を復旧させるためには、以下の4つの点を決めておくことが大切です。

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各項目で決めておくべき具体的な内容を解説していきます。

1) 重要業務・物流サービス提供の最優先順位の設定
災害時は、限られた人員や資源の中で業務を行う必要があるため、物流で重要となる業務を洗い出し、優先的に復旧対策を行うことが重要です。

優先順位がはっきりとしていると、集中して復旧対策を行うことができるので、物流をすばやく再開することが可能となります。
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ただし、物流の場合は、国からの緊急物資輸送の要請や、荷主企業や元請下請との関係があるので、自社の意思だけでは判断できないことも考えられます。

そのため、売上貢献度や利益貢献度だけを重視してしまうと、対応できなかった荷主企業との関係が崩れてしまう恐れもあります。

優先すべき箇所が複数あって優先順位の判断が難しい時は、国や自治体の要請や地域の物資輸送・古くからの取引先を重視することも一つの戦略となります。

物流を専門としている企業では、業務が復旧した後の取引先との関係も考える必要があるというわけです。

優先順位と併せて、スムーズに物流を動かすために以下の内容も決めておきましょう。
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要請をすべて受け入れていては自社の物流がパンクしかねないので、従業員が過重労働にならないように要請時の対応範囲は決めておきましょう。

2) 燃料確保
東日本大震災では、燃料の確保ができずに業務が行えないという事態が多発したので、燃料の確保は物流の復旧において極めて重要な条件です。

しかし、スタンドへの燃料供給という大きな課題は物流業界ではどうすることもできないので、できる範囲での対策の徹底を従業員に指導していきましょう。
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マイカーの燃料切れで出勤できないという事態も実際に起こったので、復旧作業の人員を確保するためにもマイカーの燃料補給を徹底させることが肝心です。

3) その他の物流現場での工夫
物流の要となるトラックが被災してしまった場合のことを想定して、その他の配送手段を検討していきましょう。

実際の被災時に活躍したのが「自転車」「原付バイク」です。

原付バイクは3〜4リットルのガソリンで100km走行可能で、バッテリーからシガーライターで接続すれば携帯電話の充電にも使えます。

災害時に準備した自転車や原付バイクが被災して使えないということを避けるためにも、備蓄倉庫などの安全性の高い頑丈な場所に保管しておきましょう。

4) 資金対策
災害から復旧において、被災状況によってはクレジットカードが使えないことから、現金が必要なケースが多くなります。

燃料が必要になっても現金がないということは避けたいので、手元に資金を準備しておくことが大切です。

その際も現金の保管場所には要注意。災害で現金の入った金庫が開かなくなってしまったということを避けるためにも、安全な場所に保管しておくようにしましょう。

平時からの準備

平時からの準備の項目では、万が一の時に行動できるように、常日頃からBCPを意識した取り組みをどのように行うのかを計画します。

BCP対策の計画を立てて終了では計画倒れになってしまうので、有事の際に行動するために以下の内容を決めておきましょう。

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BCP対策は一度立てたら終わりではなく、今後も起こる災害によって得た教訓を落とし込むことが大切です。

復旧の方法や国や自治体の対策が変わることもあるので、災害対策の情報にアンテナを張ってよりよい計画にバージョンアップしていきましょう。

自社でBCP対策の作成が難しい時は物流を代行業者に委託しよう

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物流におけるBCP対策の重要性について解説してきましたが、「自社だけでBCP対策をするのは難しい」と頭を抱えている方もいるのではないでしょうか?

例えば、生産から物流までの全てを自社で運用している場合、生産も物流を中断せずに稼働できる体制を構築するのは簡単なことではありません。

さらに、時間をかけてBCP対策を計画しても、その内容を従業員全員に徹底させる時間がなかなか取れないという現実問題もあります。

少しでもBCP対策の負担を減らしたいのであれば、物流を専門業者に委託することを検討してみましょう。業務の一部を委託することで、自社でのBCP対策を一点(生産のみ・事務のみなど)に集中させることができます。

災害時に少しでも自社の負担を減らして、メイン業務への復旧に尽力したいと考えているのであれば、アウトソーシングを検討してみてください。

物流のアウトソーシングについて詳しく知りたいという人は、「物流 アウトソーシング」の記事を参考にしてみてください。

まとめ

物流のBCP対策ついてもう一度重要なポイントをおさえておきましょう。

◯物流のBCP対策は、災害やシステム障害・感染症といった予測不能な事態が起こった時に、物流を中断せずに稼働できる体制を構築するために作成する

◯BCP対策を怠ると、有事の際に事業が再起不能になったり再開までに膨大な時間とお金を費やすため、すぐにでもBCP対策に着手すべき
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この記事で解説した物流におけるBCP対策についての内容を参考に、いかにBCP対策が必要であるかを理解した上で、災害時に行動できる計画書を作成できることを願っています。