物流倉庫を借りるときの費用相場と費用を左右するポイントを解説

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2022-06-21
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はじめに

「物流倉庫を借りるときの費用相場は?」
「物流倉庫を借りるときにはどのような費用が発生するの?」

物流倉庫の活用を検討したときに、どれくらい費用がかかるのか気になる方は多いのではないでしょうか。

物流倉庫を借りるときには、入庫と保管、出庫の作業に費用が発生 します。

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それぞれの過程でどのような費用が発生するのかを知っておかないと、思ったより費用がかかり継続利用が難しくなる可能性があります。

そこでこの記事では、物流倉庫を借りるときに必要な費用と具体的な費用相場、費用を左右するポイントをまとめて解説していきます。

【この記事を読むと分かること】
・物流倉庫の費用 ①入庫
・物流倉庫の費用 ②保管
・物流倉庫の費用 ③出庫
・【ケース別】物流倉庫費用のシミュレーション
・物流倉庫を建設した際の費用相場
・物流倉庫の費用を左右する3つのポイント

この記事を最後まで読めば物流倉庫を借りるときの費用が具体的に把握できるようになり、計画的な導入ができるはずです。

物流倉庫を導入するときに費用で悩まなくても済むように、あらかじめ確認しておきましょう。

物流倉庫の費用 ①入庫

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冒頭でも述べたように、物流倉庫の費用を大きく分けると入庫と保管、出庫の3つに分かれます。

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まずは、仕入先から届いた荷物を倉庫内で保管できる状態にする入庫作業に必要な費用をご紹介します。
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※内訳や料金はあくまでも一例です。当てはまらないケースもありますので、ご注意ください。

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入庫に必要な費用の内訳について、詳しく見ていきましょう。

入庫料

入庫料とは、仕入先から届いた荷物を倉庫内の保管場所まで運搬するときに発生する料金 です。具体的には、トラックなどの車両から荷物を下ろし、倉庫内の指定の保管場所まで移動させます。

電化製品や家具を始めとする大型商品や電子機器などの精密機器は、慎重な取り扱いが必要となります。倉庫によってはマテリアルハンドリングシステム(商品の移動を効率化させるロボットや装置)を導入し、効率化しているケースもあります。

【入庫料の目安】
トラックから商品を下ろし倉庫内の保管場所まで運搬することを想定した入庫料の目安は、下記のとおりです。例えば、10パレットを入庫した際は、2,000円~5,000円が相場となります。

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デバンニング料

デバンニング料とは、コンテナから貨物を下ろすときにかかる作業料金 です。産業車両のフォークリフトの使用や安全性の確保など技術と知識を要する作業なので、入庫料とは別に計上します。

とくに、輸送中に荷崩れが発生した際には、貨物の状況を確認しながら慎重に作業をしなければなりません。コンテナ内の貨物が危険物に該当する場合や下ろしにくい状態で積まれている場合は、作業の難易度が上がるため追加料金が発生することがあります。

【デバンニング料の目安】
輸入品の貨物をコンテナから下ろすことを想定した入庫料の目安は、下記のとおりです。1コンテナ当たりのデバンニング料は、20,000円~40,000円が相場です。

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検品料

検品料とは、入庫する商品の検品にかかる料金 です。検品とは、入庫する商品の破損や品質、個数をチェックし適切な商品、商品数か確認する作業です。

検品作業の内容は入庫する商品によって大きく異なり、工程が複雑化すると作業料金が高くなります。例えば

・電化製品が正常に稼働をするか確認する
・衣類に針や異物が混入していないか確認する

などの検品は工程が増えるため、作業料金が高くなる場合があります。

【検品料の目安】
外装にダメージがないかを確認する検品料の目安は、下記のとおりです。例えば、10ケース分の外装にダメージがないかを確認する検品をした際は、50円~500円が相場です。

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※検品料は商品、案件によって相場が大きく異なります

物流倉庫の費用 ②保管

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倉庫内で商品を保管する際には、保管料が必要です。
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※内訳や料金はあくまでも一例です。当てはまらないケースもありますので、ご注意ください。

保管料の目安や概要について知っておくと倉庫選びがしやすくなるので、ぜひ参考にしてみてください。

保管料

保管料とは、倉庫で荷物を保管するための基本料金 です。倉庫のスペースを借りるために必要な料金だと考えると分かりやすいでしょう。保管料は、主に下記のどちらかの方法で算出されます。

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パレット建て・ケース建て料金は、保管しているパレットやケースの量に応じて保管料が決まります。パレットやケースだけでなく、荷物1個ごとの保管料が定められている場合もあります。

坪貸し料金は、利用している保管スペースの坪数に応じて保管料が決まる方法です。荷物の保管方法によっては、坪単価が低ければ保管料を抑えられる可能性があります。

保管料は日割りや月額、三期制などさまざまな期日に区切られるため、あらかじめ確認しておきましょう。

【保管料の目安】
保管料の目安は、下記のとおりです。例えば、20坪の保管スペースを借りている場合は、月額50,000円〜140,000円程度が相場です。
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物流倉庫の費用 ③出庫

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倉庫で保管していた商品を出庫するときには、主に下記のような作業料金がかかります。

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※内訳や料金はあくまでも一例です。当てはまらないケースもありますので、ご注意ください。

どのような料金がかかるのか、一つずつ確認しておきましょう。

出庫料

出庫料とは、荷物を倉庫内の保管場所からトラックまで運搬し積み込みを行う作業料金 です。荷物量が多い場合や大型の荷物が多い場合は、倉庫内からトラックまで運搬するだけでも労力がかかります。

トラックまで運搬できた荷物は商品の性質や注意事項を確認しながら、丁寧に積み込みを行います。入庫時と同様に、倉庫によってはマテリアルハンドリングシステムを導入し、効率化しているケースもあります。

【出庫料の目安】
荷物を倉庫内の保管場所からトラックまで運搬し積み込みを行うことを想定した出庫料の目安は、下記のとおりです。例えば、7パレット出庫する際は、1,400円~3,500円程度が相場です。

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バンニング料

バンニング料は、コンテナに貨物を積み込むときにかかる作業料金 です。デバンニングはコンテナから貨物を下ろす作業を指すのに対して、バンニングは逆のコンテナに貨物を積み込む作業を指します。

バンニングもデバンニングと同様にフォークリフトの使用や安全性の確保など技術と知識を要する作業なので、出庫料とは別に計上します。

コンテナはサイズが決まっているので、貨物がその中に収まるよう工夫をしながら積み込みを行います。それだけでなく、貨物の品質が維持できるよう固定方法や荷重の分散も考慮する必要があります。

【バンニング料の目安】
輸出品の貨物をコンテナに積み込むことを想定した出庫料の目安は、下記のとおりです。1コンテナ当たりのバンニング料は、20,000円〜40,000円が相場です。
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ピッキング料

ピッキングとは、注文が入った商品を倉庫内から探して収集する作業 です。倉庫が広い場合や保管している商品数が多い場合は、非常に大変な作業です。

扱っている商品によってはフォークリフトや装置を使い商品の取り出しを行うため、料金が高くなる場合があります。1日の出庫量が多ければ必然的にピッキング数も増えるため、ピッキング料が高くなります。

【ピッキング料の目安】
ケースから一部商品を取り出すことを想定した出庫料の目安は、下記のとおりです。例えば、ケースから10ピースを取り出す場合は200円~500円程度が相場です。
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※ピッキング料は商品、案件によって相場が大きく異なります

梱包料

梱包料とは、ピッキングした商品を梱包する作業料金 です。梱包の方法は、商品により大きく異なります。

段ボールや封筒に詰めるだけの場合もあれば、商品の破損を避けるために緩衝材やクラフト紙を使い梱包する場合もあります。倉庫によってはクーポンやチラシの同封やラッピング対応をしている場合もあり、梱包方法によって料金が大きく変わります。

また、梱包料に送り状の貼付が含まれるケースや別途資材料購入費がかかるケースなど作業範囲も異なるため、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

【梱包料の目安】
ピッキング後にケースに詰め替える(梱包資材料は含まない)作業を想定した梱包料の目安は、下記のとおりです。例えば、ピッキング後にケースに詰め替える(梱包資材料は含まない)作業を3ケース分行った際は、90円~450円程度が相場です。

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※梱包料は商品、案件によって相場が大きく異なります

【ケース別】物流倉庫費用のシミュレーション

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物流倉庫にかかる基本的な費用が把握できたところで、実際の費用感を掴むためにシミュレーションをしてみましょう。

先ほどご紹介した費用相場を基に3つのパターンを算出してみたので、参考にしてみてください。

シミュレーション①ケースをベースとした場合

まずは、ケースをベースとして1ケース当たり月額でどれくらいの費用がかかるのかシミュレーションをしてみます。(バンニング、デバンニング作業は発生しない想定)

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上記の費用を「入庫」「保管」「出庫」の3つの工程で分けると下記のようになります。
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1ケース当たりの「入庫」「保管」「出庫」の各工程にかかる費用の目安を参考にして、扱うケース量での費用目安を算出してみてください。

シミュレーション②パレットをベースとした場合

続いて、パレットをベースとして1パレット当たりどれくらいの費用がかかるのかシミュレーションをしてみます。(バンニング、デバンニング作業は発生しない想定)

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上記の費用を「入庫」「保管」「出庫」の3つの工程で分けると下記のようになります。
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1パレット当たりの「入庫」「保管」「出庫」の各工程にかかる費用の目安を参考にして、扱うケース量での費用目安を算出してみてください。

シミュレーション③10ケースの場合(デバンニング・バンニングありの場合)

最後に、すべての工程を必要とした10ケース分の入出庫、保管料をシミュレーションします。
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上記の費用を「入庫」「保管」「出庫」の3つの工程で分けると下記のようになります。
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今回実施したシミュレーションは、あくまでも一例です。倉庫費用は扱っている商品や倉庫の設備により大きく変動するため、参考程度にしてみてください。

物流倉庫を建設した際の費用相場

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物流倉庫の活用を検討するときに、自社での建築を考えることがあるかと思います。国土交通省が実施した「建築着工統計調査(2021年)」を基に坪単価を求めると、構造ごとに下記のような価格となります。

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参考:国土交通省「建築着工統計調査(2021年)

例えば、70坪の鉄骨鉄筋コンクリート造の倉庫の建設費は、49.5万 × 70坪で3,465万円程度が相場です。この価格はあくまでも倉庫の建設にかかる費用のみなので、設備や環境整備を考えると非常に多額の出資が必要となります。

もちろん初期投資だけでなく、物流倉庫を稼働させるための人材費用や水道光熱費などの固定費もかかります。初期投資とランニングコストを踏まえて、物流倉庫をどのように運営するべきか検討することが重要です。

物流倉庫の費用を左右する3つのポイント

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最後に、物流倉庫の費用を左右する下記の3つのポイントをご紹介します。

・取り扱う荷物量が多いと費用が高くなる
・物流倉庫で扱う商品により費用が異なる
・業務が増えると費用が高くなる

少しでも物流倉庫にかかるコストを抑えたいときにヒントとなるので、ぜひ参考にしてみてください。

取り扱う荷物量が多いと費用が高くなる

物流倉庫にかかる費用は、基本的に取り扱う荷物の量が増えると高くなります。どの費用もパレットやケース、ピースで算出されるため、荷物量に応じて料金が加算されるためです。

例えば、入庫料と出庫料、保管料の基本料金は、どれもパレットやケースで算出されることが多いです。入庫するパレットが5枚から10枚に増えると保管料も増え、出庫料も増えます。

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荷物量と利益が比例して増えればいいですが、入庫数と保管数を増やすところで止まってしまうと倉庫費用がかさみます。

そのため、保管期間をできるだけ短くする、出庫を見据えた入庫をするなど少しでも費用を抑える工夫が必要です。

物流倉庫で扱う商品により費用が異なる

物流倉庫の費用は、物流倉庫で扱う商品によっても価格が左右 されます。例えば、輸入品や輸出品を扱っておりコンテナへの積み込みや積み下ろし作業が発生すると、デバンニング料やバンニング料がかかります。

また、食品や医薬品など倉庫内の温度管理、空調管理が必要な商品を扱う場合は、保管料が高くなる可能性があります。

他にも、衣類や電化製品などで動作確認や商品確認など細かな検品作業を要する場合は、検品料が高くなります。

このように、取り扱う商品によって費用が高くなる項目が作業が生じる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

業務が増えると費用が高くなる

物流倉庫は、業務が増えるとその分費用が高くなります 。例えば、稀なケースではありますが梱包が不要の場合は、梱包料が発生しません。その分、物流倉庫にかかる費用が抑えられます。

梱包が不要とまでは行かなくても、簡易的な包装の場合は梱包料が安くなる可能性があります。逆に、ラッピング対応やのし対応など個別対応が必要となるとその分業務が増えるので、梱包料が高くなります。

物流倉庫の費用を少しでも抑えたい場合には、費用が発生する業務や業務内容に着目をして不要なものを削っていくといいでしょう。

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まとめ

いかがでしたか?物流倉庫の費用が把握でき、物流倉庫の利用を検討できるようになったかと思います。最後に、この記事の内容をまとめてみると

〇物流倉庫の入庫に必要な費用は下記のとおり
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〇物流倉庫の保管料は下記のとおり
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〇物流倉庫の出庫に必要な費用は下記のとおり
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〇物流倉庫を建設する場合は木造で36.3(万円/坪)、鉄骨鉄筋コンクリート造で49.5(万円/坪)が相場。建設費以外にも人件費や設備費用などがかかるため、慎重に検討する必要がある

〇物流倉庫の費用を左右するポイントは次の3つ

1)取り扱う荷物量が多いと物流倉庫にかかる費用が高くなる
2)物流倉庫で扱う商品により必要な費用が異なる
3)業務が増えると費用が高くなる

この記事を基に物流倉庫で発生する費用や費用相場が把握でき、コストを考慮しながら導入の検討ができることを願っています。