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倉庫には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
保管・管理する物品の得手不得手もあり、倉庫を借りる際には倉庫の種類を確認する必要があります。
とはいえ、今まで倉庫を借りた経験がないと、倉庫の種類についても詳しくなく「まずは倉庫の種類を知りたい」という悩みを持つ人もいるでしょう。
倉庫には大きく分けて「営業倉庫」と「自家用倉庫」の2種類があります。
つまり、
● 製品の在庫管理や倉庫の管理業務を任せたい
● 発送代行サービスを利用したい
などの希望があり、物流機能のある倉庫を借りるときは、営業倉庫を借りることになります。
営業倉庫には、以下の9種類があり、それぞれ預けられる荷物が異なります。
上記のように、倉庫によっては特定の物品しか保管できないこともあります。
倉庫の種類を正しく理解せずに倉庫を借りると、借りた倉庫に自社製品が預けられないトラブルが発生する危険性もあります。
そこでこの記事では、以下について解説します。
【この記事でわかること】
● 倉庫の種類
● 倉庫の種類の選び方
● 倉庫を借りる方法
● 倉庫を借りる費用を安く抑える方法
自社の製品に適した倉庫を選び、借りたいと思っている人はぜひチェックしてくださいね。
冒頭でふれたとおり、倉庫には「営業倉庫」と「自家用倉庫」の2種類があります。
それぞれの特徴は、以下の通りです。
つまり、在庫管理のために物流機能をもつ倉庫を借りたい場合は、営業倉庫のなかから選ぶことになります。
営業倉庫には、以下の9種類があります。
それでは、ここからはそれぞれの倉庫について紹介します。
【物品の種類と分類】
倉庫に保管する物品は「倉庫業法施行規則」という法令によって、以下のように分類されています。
参考:北海道運輸局ホームページ(物品の種類と保管可能な営業倉庫)
倉庫に保管可能な物品を調べると、この物品の種類が提示されていることも多いため、自社製品がどの分類に当てはまるのかをあらかじめ確認しておきましょう。
【自家用倉庫を借りることもできる】
自家用倉庫も借りることは可能です。
ただし前述の通り、自家用倉庫は個人・団体が自身の所有する荷物を保管するための倉庫です。
つまり、
● 在庫管理などの物流業務
● 倉庫管理システムの導入
● 設備・備品の整備
などは自社で担う必要があります。
あくまで「保管場所」だけの賃貸契約となるため、注意してください。
1類倉庫は、数ある営業倉庫のなかで最も多目的に使用できる倉庫で、倉庫街などでよく見られる一般的な建屋型の倉庫です。
同じ建屋型の倉庫に「2類倉庫」「3類倉庫」があり、それぞれ施設設備基準に以下のような違いがあります。
上記のように、1類倉庫が最も厳しい施設設備基準をクリアしており、最も多くの種類の物品が保管できます。
そのため、営業倉庫を借りるときは、多くのケースで1類倉庫を借りることになります。
なお、ほとんどの貨物を保管できる1類倉庫ですが、粉状・液状の物品、危険物・高圧ガス、10度以下保管の物品は保管できません。
【1類倉庫に適した貨物の例】
1類倉庫には、第一類〜第五類物品に分類されるほとんどの物品が保管できます。
具体的には、
● 日用品
● 繊維製品
● 紙・パルプ製品
● 電気機械
などを保管するケースが多いです。
外観は1類倉庫と同じ、建屋型の倉庫です。
「1類倉庫」で触れた通り、2類倉庫は耐火性能・防火性能を求められない倉庫です。
そのため、燃えやすい貨物は保管できません。
【2類倉庫に適した貨物の例】
2類倉庫には、第二類〜第五類物品に分類される物品が保管できます。
具体的には、
● 麦
● でんぷん
● 飼料
● 塩
● 皮革
● 鉄製品
● セメント
などが保管可能です。
外観は、1類・2類倉庫と同じ建屋型の倉庫です。
「1類倉庫」で触れた通り、3類倉庫は耐火・防火性能/耐湿・耐水性能を求められない倉庫です。
そのため、濡れても品質に影響がなく、湿度に強い物品のみが保管できます。
【3類倉庫に適した貨物の例】
3類倉庫には、第三類〜第五類物品に分類される物品が保管できます。
具体的には、
● ガラス製品
● 陶磁器
● 鉄材
● タイル
などが保管可能です。
野積倉庫では、周囲を柵や塀、鉄条網などで防護されている土地に貨物を保管します。
野外での保管となるため、雨風や日光による影響を受けない貨物の保管に適しています。
【野積倉庫に適した貨物の例】
野積倉庫の主な保管品は、第四類物品・第五類物品にあたる、以下の物品です。
● 原材料となる鉱物や土石、原木など
● れんが・かわら
● 屋外用ケーブル
● 空コンテナ
貯蔵槽倉庫とは、石や鉄筋コンクリートで作られた円柱状の倉庫です。
粉状または液状の物品を保管するための倉庫で、業種や貨物によっては、タンクやサイロ、ホッパーと呼ばれることもあります。
【貯蔵槽倉庫に適した貨物の例】
貯蔵槽倉庫には、第六類物品と、第一類〜第二類物品のうち、ばらの物品が保管できます。
具体的には、
● 小麦
● 大麦
● 飼料用トウモロコシ
● 糖蜜
などを保管します。
危険品倉庫は、ガソリンや灯油などの危険物や高圧ガスを保管するための倉庫です。
火災リスクの高い物品を保管するため施設設備基準が厳しく、
● 耐火性能
● 防火性能
● 防湿性能
● 防水性能
● 防犯設備
● 鼠害防止設備
などを備えることが義務付けられています。
【危険品倉庫に適した貨物の例】
危険品倉庫には、第七類物品に分類される物品を保管できます。
具体的には、
● ガソリン
● 灯油
● 油性塗料
など、消防法で定められた危険物や、高圧ガス保安法第二条で定められた高圧ガスを保管します。
冷蔵倉庫は、貨物を常に摂氏10度以下の低温で保管するための倉庫です。
主に鮮度が重要視される野菜や食肉・水産物などを保管します。
一口に冷蔵倉庫といっても、庫内の温度によって種類があり、以下のように分けられています。
冷蔵倉庫について、より詳しく知りたい場合はこちらの記事もご覧ください。
参照記事:倉庫の温度管理とは?|目的や重要性、失敗しないための4ポイント
水面倉庫は、河口付近などの水面に原木を浮かべて保管・管理するための倉庫です。
その保管方法から、水面貯木庫とも呼ばれます。
水面での不安定な保管方法ですが、貨物の流出防止のために周囲に堤防などを作るなど、対策が義務付けられているため安心して利用できます。
【水面倉庫(水面貯木庫)に適した貨物の例】
水面倉庫(水面貯木庫)ではその名の通り主に木材を保管しています。
トランクルームは、主に個人の利用を想定して作られた小規模な倉庫です。
物流機能は揃えておらず、自身で保管・管理をする必要があります。
定温・低湿など、一定以上の性能を持つトランクルームは国土交通省の認定を受け、「認定トランクルーム」として営業しています。
【トランクルームに適した貨物の例】
トランクルームには、家庭で利用するもののうち、ほとんどのものが保管できます。
例えば、
● 家具/家電
● 衣類
● 美術品
● 文書/書籍類
などです。
ただし、危険物や腐敗するものは保管できない、など管理会社によってルールがあるため、利用前に確認をする必要があります。
前章では、倉庫の種類と預けられる物品について解説しました。
とはいえ「自社の場合は、どのような倉庫を選べばいいのかわからない」という人もいるでしょう。
そこでこの章では、借りる倉庫を選ぶときにチェックしてほしいポイントについて解説します。
チェックポイントは、以下の4つです。
● 面積/収容能力は充分か
● 倉庫の種類が適しているか
● 必要な資格を保持しているか
● 必要な物流作業に対応しているか
ここからは、それぞれについて解説していきます。
倉庫を契約する前に、使用できる面積や収容可能な容量を確認しておきましょう。
面積や容量は、今現在の在庫に対して充分なだけではなく
● セール時など一時的な在庫の増減に対応できるか
● あとで保管面積を変更できるか
なども確認しておくことが大切です。
保管面積の変更ができない場合は、在庫が増えたときを想定して、充分な余裕がある倉庫を借りる必要があります。
「借りられる倉庫の種類は9種類!特徴と適した貨物は?」で解説した通り、倉庫の種類によっては、預けられない物品があります。
借りたい倉庫が自社製品に適した種類の倉庫かどうか、あらかじめ確認しておきましょう。
【倉庫の種類に悩んだら「1類倉庫」を選ぶことがおすすめ】
倉庫の種類は、一般的に1類倉庫を選ぶことが多いです。 倉庫のなかで最も多くの種類の物品を保管できる1類倉庫は、より多くの種類の物品をまとめて保管することが可能です。
1類倉庫以外の倉庫を借りた場合、以下のようなトラブルになるケースもあります。
〇アパレル製品とガラス製品を扱う場合
倉庫の種類に悩んだときは、あとから扱う物品が増えることも想定して、1類倉庫を選ぶことがおすすめです。
希望する倉庫が、自社製品を保管するために必要な資格や許可証を取得しているかどうかも重要なチェックポイントです。
物品のなかには、以下のように保管するために資格が必要だったり、保管環境に指定があるものがあります。
契約後のトラブル防止のために、自社製品を保管するためにどのような資格が必要なのか、事前に確認しておきましょう。
倉庫が対応できる物流作業も確認しておきましょう。
倉庫にはそれぞれ得手不得手があり、対応可能な物流作業は異なります。
以下の表は、一部の倉庫の対応可能な物流作業です。
参考にしてください。
上記のように対応可能な作業には差があります。
あらかじめ、自社製品に必要な物流作業は何かを確認し、対応可能な倉庫を探しましょう。
借りたい倉庫の種類が決まったら、実際に倉庫を借りる手順についてみていきましょう。
物流機能をもつ倉庫を借りるための方法は、
● 希望の倉庫を自ら探して倉庫に直接問い合わせる
● 倉庫専門のビジネスマッチングサイトに倉庫を見つけてもらう
の2通りです。
どちらも大まかな流れは同じで、以下の手順で行います。
それでは、それぞれの工程について解説していきます。
倉庫を借りることを決めたら、まずは
● インターネットなどで見つけた希望の倉庫
● ビジネスマッチングサイト
に問い合わせをしましょう。
【希望の倉庫に直接問い合わせるケース】
希望の倉庫が決まっている場合は、倉庫に直接問い合わせをします。
問い合わせ方法は、
● 電話
● Eメール
● ホームページの問い合わせフォーム
などです。
問い合わせでは、
● 会社名
● 担当者情報
● 連絡先
● 月間出荷数
● 在庫数
● 必要な物流作業
● 業務開始時期
● その他希望条件
を求められるケースがあるため、あらかじめ回答を用意しておきましょう。
問い合わせの後は、倉庫を実際に見学したりするための打ち合わせをしたり、上記の内容をもとに作成された見積もりをチェックしたりします。
倉庫見学については「倉庫見学」を、見積もりについては「見積もり」を、参考にしてください。
【ビジネスマッチングサイトに倉庫を探してもらうケース】
希望の倉庫が見つからない場合は、倉庫専門のビジネスマッチングサイトに相談しましょう。
● 電話
● サイトの問い合わせフォーム
などから問い合わせをすると、担当者から連絡があり、希望の倉庫に関して質問されます。
希望の倉庫に関する質問では、
● 月間出荷数
● 在庫数
● 出荷件数目安
● 必要な物流作業
● 扱う製品の種類
● 業務開始時期
などを確認されます。
上記の内容をもとに倉庫を紹介されるので、倉庫選びをしましょう。
利用したい倉庫が決まり次第、倉庫見学や見積もりとなります。
倉庫見学については「倉庫見学」を、見積もりについては「見積もり」を、参考にしてください。
一部の倉庫では、倉庫の見学が可能です。
倉庫見学では、
● 倉庫の周辺環境
● 作業の流れ
● スタッフの態度
などの基本的な部分のほかに、「倉庫の内外が整理整頓されているか」を確認しましょう。
倉庫の内外や作業場所が整理整頓されている倉庫は「安全対策について考えられている倉庫」です。
例えば、
● パレットが丁寧に積まれている
● カゴ車が定位置で管理されている
● 作業台が片付いている
● 備品が細かく管理されている
● ゴミ捨て場が清潔に保たれている
などが、整理整頓されている倉庫といえます。
倉庫の整理整頓がされていないと、以下のようなトラブルが発生する危険性があります。
● 適当に積まれたパレットが倒壊してきてスタッフが負傷した
● 作業台に放置されたハサミを誤って商品に同梱してしまった
● ゴミ捨て場から原因不明の出火があった
上記のようなトラブルが発生すると、出荷遅延や検品ミスによるブランドイメージの低下を招きます。
トラブルを防ぐためにも、倉庫が整理整頓されている倉庫を選びましょう。
見積もりが提出されたら、以下の点について確認しましょう。
● 料金システム
● 見積もりの内訳
● 金額
倉庫の料金システムは、管理会社によって異なります。
あとで「思っていたよりもコストがかかっている」などのトラブルにならないよう、内容に疑問点や不明点がある場合は、担当者に確認してください。
倉庫の料金システムについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。
参考記事:「物流倉庫を借りるときの費用相場と費用を左右するポイントを解説」
見積もりの内容に問題がない場合は、正式に契約となります。
契約の際には、以下のような書類を取り交わします。
【契約にかかわる書類の例】
業務委託契約書
寄託契約書
秘密保持契約書
書類に不備がなければ、契約完了です。
契約完了後、実際の利用開始に向けての打ち合わせをします。
打ち合わせでは、
● 製品の搬入スケジュール
● 在庫データの共有
● 製品情報の共有
など、打ち合わせでは実際の作業に必要な情報を共有します。
契約後の打ち合わせで決めた稼動開始日が来たら、利用開始です。
実際に倉庫を借りる方法について理解したところで、「できれば安く倉庫を利用したい」と考える人もいるでしょう。
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その理由は、倉庫の利用料金が坪単価によって大きく変動するためです。
倉庫の利用料金は、主に以下の5つの費用から構成されています。
上記のうち、保管料金以外は倉庫ごとに大きな違いはありません。
しかし、保管費用は倉庫のあるエリアの坪単価に影響するため、エリアごとに大きな違いが出ます。
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倉庫の種類は、以下のように「営業倉庫」と「自家用倉庫」の2種類があります。
それぞれ上記のような特徴があるため、物流機能のある倉庫を借りるときは、営業倉庫から選ぶことになります。
〇営業倉庫には、以下の9種類があります。
〇倉庫を選ぶときには、以下のポイントをチェックしてください。
● 面積/収容能力は充分か
● 倉庫の種類が適しているか
● 必要な資格を保持しているか
● 必要な物流作業に対応しているか
〇倉庫を借りるときの手順は以下の通りです。
〇利用料金の安い倉庫を借りたい場合は、坪単価の安い郊外エリアの倉庫を選ぶのがおすすめです。
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