目次
「入出庫管理とは、どのような業務なのか?」
「どんなやり方で入出庫管理を行えばいいのか?」
入出庫管理とは、在庫管理業務の一部で、在庫を出し入れした際の日時や量を記録する業務のことです。
絶えず変動する在庫の量を正しく把握して在庫の過不足等を防ぐ重要な工程であると同時に、正しく効率よく行うのが難しい業務でもあります。
「単純にオペレーションを変える」だけでは効率が上がらないケースも多く、以下のように段階を踏んで入出庫管理の環境を整備していくことが重要です。
・一般的にどんな入出庫管理方法があるかを知る
・自社に合った入出庫管理方法を比較検討する
・よくある入出庫管理の失敗パターンを知る
・入出庫管理の効率をアップさせるコツを抑える
本記事では、現状の入出庫管理を改善したいという方に向けて、入出庫管理の基本的な知識ややり方、効率化のポイントを解説します。
最後まで読めば、あなたの状況に合った入出庫管理のやり方がわかり、すぐにでも実践できるようになるでしょう。
今すぐに自分の環境にマッチした入出庫管理の方法を知りたいという場合は、記事内の「6.入出荷管理方法の選び方」をご覧ください。
まずは、入出庫管理業務に関する基礎知識について、以下の順に解説していきます。
入出庫管理とは、適正な在庫の量と質を保つ「在庫管理」の業務のうち、在庫を出し入れする際に日時や量を記録する作業のことを指します。
入出庫管理では、具体的には以下のような項目を記録します。
※在庫管理について詳しく知りたい場合は、基礎知識や改善方法について解説したこちらの記事をご覧ください。
入出庫管理を行う最大の目的は、「社内にある在庫の数量を常に明確にしておくこと」です。
日々の入出庫管理業務を怠っていると、以下のような問題が発生してしまう恐れがあります。
絶えず変動する在庫の数の動きを、都度正確に捉えることこそが、在庫管理を正しく行う鍵なのです。
「発注した在庫が搬入され、注文を受けて搬出される」という動きを記録するのが、入出庫管理の大まかな流れです。
上記の例のように入庫した商品を倉庫で保管してそのまま出庫する場合もあれば、原材料として入庫したものを倉庫内で加工し、製品を出庫するといったパターンもあります。
入出庫管理のやり方には、主に5種類の方法があります。
それぞれ異なる特性があるため、どの方法が最も適しているかは会社や店舗の状況によって変わります。
ここからは、入出庫管理のやり方として一般的な5種類について詳しく解説していきます。
紹介する5種類のうち、すでにいずれかの方法を実践しているという方もいるはずです。
「今のやり方のままでオペレーションだけ変えよう」
「こっちのやり方を新しく導入した方がいいかもしれない」
など、自社に最も合った入出庫管理の方法はどれか、比較しながら探してみましょう。
オリジナルの入出庫管理表を作って、カウントした在庫数を手書きで記入していく、というアナログな方法です。
取り扱う在庫の量が少ない小規模な個人店などでは、手書きで入出庫管理を行っているケースも少なくありませんが、手作業によるカウントや記入はミスが発生しやすいという大きなデメリットがあります。
どうしても現場にパソコンを置けない等の事情がない限りは、あまりおすすめできない手法です。
表計算ソフト「エクセル」を使って入出庫管理表を作成・記録していくという方法です。
関数を使って自動計算を行うことで、手書きの表よりも簡単かつスピーディーに在庫の状況を把握できます。
一方で、数値の入力は手作業になるため、入力ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすいというデメリットもあります。
新たにインストールして一から始めるにはあまりおすすめできない方法ですが、現場のパソコンにすでにエクセルが入っている場合は試してみる価値のある方法です。
データベース管理ソフト「Access(アクセス)」を使って入出庫の情報を保存する、という方法です。
Accessはエクセルと同じマイクロソフト社のソフトですが、機能に次のような違いがあります。
Accessを使った入出庫管理は、主に次の4つの機能を活用して行います。
エクセルよりも多くの情報を管理できるものの、操作が複雑でAccess独自の知識が必要になるため、現場にAccessの操作ができる従業員がいない場合は導入を慎重に検討した方がいいでしょう。
パソコンに在庫管理専用のシステムを導入し、入出庫の情報を自動で把握・管理してもらうという方法です。
在庫管理システムを使った入出庫管理方法の最大の特徴は、商品の情報の入力を自動で行えるという点です。
在庫のカウントと記録という、ミスが発生しやすい業務をシステムが代行してくれるため、ヒューマンエラーの防止と作業時間の短縮に繋がります。
入出庫管理に限らず、在庫管理業務全体の効率化・改善を考えている方におすすめしたい方法です。
「IoT(Internet of Things)」という、物とインターネットを直接繋ぐ技術を活用した、新しい形の在庫管理システムで入出庫管理を行う方法です。
一般的な在庫管理システムと比べてさらに入出庫管理の自動化を進められますが、IoT機器を使ったシステムを開発・提供している企業はまだ少なく、選択肢が限られているのが難点です。
すでに在庫管理システムを導入していて、より業務の簡略化や効率化を進めたいという場合は、選択肢のひとつとして検討してみてもいいでしょう。
以上の5つが、主な入出庫管理の方法です。
「自社にとってどの方法が最適かわからない」という場合は、次章の「4.入出庫管理方法の選び方」を参考にしてください。
数ある入出庫管理方法のなかから自社に最も適したものを選ぶには、「現状で抱えている問題を解消してくれるものを選ぶ」という方法が有効です。
とはいえ、「そもそも自社で抱えている問題が何なのかわからない」といった方もいるのではないでしょうか。
そこでここからは、入出庫管理における代表的な4つの問題と、その問題を解消するのにおすすめの入出庫管理方法について解説します。
あなたの会社の入出庫管理に当てはまる問題を探し、解消法となる入出庫管理方法をチェックしましょう。
現在手書きの管理表で在庫の出入りを管理しており、入力ミスや表の紛失といったヒューマンエラーが目立つ場合は、在庫管理システムの導入をおすすめします。
在庫管理システムは、導入に時間や費用がかかるため
「とりあえずエクセルなどを導入して『半自動化』させて様子を見たい」
と考えるかもしれませんが、エクセルを使った表管理でも人為的なミスは発生するため、ミスの軽減には限界があります。
人為的ミスを極限まで減らすためには、商品の情報を読み取りを自動化できるシステム導入に踏み切るのがベターです。
「手書きで入出庫管理表を作成しているが、時間がかかって業務が回らない」
「エクセルで入出庫管理表を作成しているが、入力作業の時間が思うように取れない」
こういった「手が足りない」という問題には、業務の自動化による作業時間の短縮が最も効果的であるため、在庫管理システムの導入をおすすめします。
「手書きからエクセルへ」、「エクセルからAccessへ」といった管理方法の移行もできますが、作業時間の短縮には限界があります。
色々な方法を試してみる余裕がない時こそ、将来的には確実に業務を効率化させてくれるシステム導入に踏み切るといった選択が必要なのです。
導入直後のオペレーション変更が不安という場合は、システムの運用方法までサポートしてくれるサービスを選ぶといいでしょう。
「すでにエクセルやAccessを使って入出庫管理をしているが、上手く活用できずに業務が滞る」といった場合は、以下のように段階を踏んで管理方法を検討するのがおすすめです。
すでに使用しているソフトがあって、それを上手く活用できていないことが問題である場合は、使い方を見直すだけで入出庫管理業務が改善できる可能性があります。
エクセルやAccessを使った在庫管理の講習やコンサルを受けるなど、専門家の指導を仰いでみましょう。
ソフトの使い方を見直してもなお入出庫管理業務が上手く機能しない場合は、できるだけ人の手を介さず在庫管理が行えるシステムの導入に踏み切るのがおすすめです。
すでにバーコードリーダー等を使った在庫管理システムを導入しており、それでも入出庫管理業務の手が回らないという場合は、より効率化が期待できる「IoT機器を活用したシステムの導入」を検討してみましょう。
遠隔カメラや重量計を使って入出庫管理をしてくれるIoT機器は、商品をひとつひとつ読み取る従来の在庫管理システムよりもさらに作業効率が良くなります。
人の手による作業を極限まで減らすことで、人員不足の問題が解消できるのです。
ここからは、入出庫管理業務で発生しやすい、よくある4つの失敗について解説します。
思い当たるものがひとつでもある場合は、現在の入出庫管理を見直して改善していく必要があるので、上から順に照らし合わせながら読み進めていきましょう。
商品の出入りが激しい倉庫などの場合、日々の業務が複雑化して全体の流れを把握できている従業員が現場の責任者一人しかいない、といった状況に陥りやすくなります。
一見責任の所在が明確で上手く機能しているように思えますが、責任者不在のタイミングで不良品の発見や在庫の数が合わないといったトラブルが発生した際、現場は混乱してしまいます。
一般的に管理表を用いて行うことの多い入出庫管理は、手書きや手入力で在庫の数をカウントする場合、数え間違いや記入漏れといった人為的ミスが発生しやすい傾向にあります。
このようなミスを放っておくと、実際の在庫数とのズレがどんどん増え、最終的に全ての商品の棚卸しを一から行わなければならないという事態に発展しかねません。
余計な作業時間が増えることで従業員のストレスや人件費が増幅する恐れもあるため、十分な注意と対策が必要です。
商品の出入りが激しい現場では、データ上の入出庫管理が実際の入出庫に追いつかず「あると思っていた在庫がない」といったトラブルも発生しやすいものです。
注文が入った商品の入庫が間に合わず、本来出せるはずだった利益のチャンスを失うことで、売り上げや経営に支障が出るケースも少なくありません。
何箇所も拠点を構えていたり、取り扱う商品の量や種類が多いほど、入出庫業務は複雑化します。
上記のようなマンパワーに依存した効率の悪い方法で運用していると、管理者や従業員の労働時間が増えるだけではなく、人件費やそうこの光熱費といった固定費も余分にかかってしまいます。
これまで紹介した4つのよくある失敗のうち、1つでも当てはまるものがあれば、現在の入出庫管理の方法を見直した方が賢明だと言えるでしょう。
ここからは、正しく効率の良い入出庫管理を行うための3つのコツを紹介します。
どんな方法で入出庫管理を行う場合も重要なポイントなので、ひとつずつしっかりとチェックしていきましょう。
入出庫管理に関するオペレーションを変更し、従業員にノウハウやルールを共有する際は、できるだけわかりやすくシンプルな管理方法にする工夫が必要です。
「細かい部分まで全て共有した方がミスが出にくいのでは?」と考えるかもしれませんが、実はルールが具体的に複雑になるほど、要点が見えにくくなってミスの発生に繋がります。
具体的には、以下のような方法が有効です。
誤解が生まれないシンプルなオペレーションを目指すことで、勘違いなどによるヒューマンエラーの発生を未然に防げます。
データ上で管理している在庫と、実際に倉庫内にある在庫の数が合わないことが判明した場合、放置せずすぐに差異が発生してしまった原因を突き止めましょう。
「入出庫管理表の上では在庫が100個あるとされていた商品が実際は50個しかなく、気づかずに100個受注してしまい、発注者に入荷待ちの連絡をすることに…」といった事態が発生すると、顧客からの信頼を失ってしまいます。
たとえ1個や2個など小さな数字でも、在庫の差異が発覚したら以下のような方法で対処しましょう。
「入出庫管理がうまくいっていない」と感じた場合は、在庫の出入りだけではなく、現品管理のやり方も見直してみるのがおすすめです。
頻繁に出入りする在庫以外にも、倉庫の中にはあらゆる物が収容されているはずです。
それらすべてを整理整頓することで、入出庫の導線が整い、入出庫管理業務もスムーズに行いやすくなります。
といった方法で、倉庫全体の物の動きを見直してみましょう。
WareXには
といった特長があり、手間なく低コストで外部倉庫を借りることができます。
「煩雑な倉庫の環境を改善して、入出庫管理をスムーズに行いたい!」という場合は、ぜひ「WareX」をご活用ください。
最後に、今回お話した内容の重要ポイントをおさらいしてみましょう。
【入出庫管理とは】
適正な在庫の量と質を保つ「在庫管理」の業務のうち、在庫を出し入れする際に日時や量を記録する作業のこと
→「いつ」「何が」「どのくらい」倉庫から出入りしたのかを管理
【入出庫管理の重要性】
入出庫管理を行う最大の目的は、「社内にある在庫の数量を常に明確にしておくこと」
日々の入出庫管理業務を怠っていると
といった問題が発生してしまう恐れがある
【入出庫管理のよくある4つの失敗】
→1つでも当てはまるものがあれば、現在の入出庫管理の方法を見直すのがベター
【入出庫管理を行うための5つの方法】
→それぞれ異なるメリット・デメリットがあり、「正解」はない
【入出荷管理方法の選び方】
入出庫管理の方法を選ぶ最終的な判断基準は、「入出庫管理における現在の問題は何か」
例)
→エクセル等で「半自動化」させてもミスの軽減や作業時間の短縮には限界があるため、在庫管理システムの導入で潔く自動化に踏み切る
【正しく効率の良い入出庫管理を行う3つのコツ】
→どんな手法で入出庫管理を行うとしても重要なポイント
本記事を参考に、あなたの会社が抱える入出庫管理の問題が解消され、在庫管理業務の生産性・正確性向上の一助となれば幸いです。