デバンニングとは|これだけ読めばOK!基礎からコツまで総解説

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2022-08-10
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はじめに

「デバンニングってなに?」
「デバンニングが大変だと言われるのはどうして?」

デバンニングという言葉を耳にしたけれど、どういうことなのかわからない、という方は多いのではないでしょうか。

デバンニングとは物流用語で、「コンテナから貨物を取り出す作業」 のことをいいます。

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デバンニングは貨物の輸送において欠かせないものですが、以下のような理由によって、とても大変な作業だといわれています。

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また、自社で行う方法と外注する方法があり、適切な選択をするためにはデバンニングについての基礎的な知識を身につけておくことが大切です。

そこでこの記事では、以下について詳しく解説します。

【この記事を読むと分かること】
・デバンニングとは
・デバンニングが大変だといわれる3つの理由
・デバンニングの種類(自社・外注)と選び方
・安全で効率的なデバンニングを行うためのポイント

この記事を読むことで、デバンニングについての基礎知識が一通り得られ、人に説明できるレベルで理解することができます。

また、実際にデバンニングを行う可能性があるという場合には、どのような方法がベストなのか判断できるようになるはずです。

自社の物流を効果的にマネジメントしていくための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

デバンニングとは

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まずは、デバンニングとはなにかという最も基本的なことを理解するために、以下の内容について解説します。

・デバンニングという言葉の意味
・デバンニングの手順
・一般的なデバンニングとは

物流用語で「コンテナから貨物を取り出す作業」

デバンニングとは、コンテナから貨物を取り出す作業のことをいいます。

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物流関係者の間では、「デバン」 と略されることもあります。

取り出し作業は手作業のこともあればフォークリフトなどの機械を使用することもあり、貨物の種類や量・作業に使えるリソースなどによってやり方が変わってきます。

デバンニングとは反対に、コンテナに貨物を詰める作業のことは 「バンニング」 といいます。

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デバンニングの手順

デバンニングについて具体的にイメージするために、実際の手順をご紹介します。デバンニングは、以下のような手順で行います。
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【スロープの設置など環境を整える】
まずは、作業の安全と効率を確保するために、環境を整えます。
例えば、デバンニングはトレーラー上にあるコンテナから行うことが多いため、コンテナと地面との段差を解消するスロープを設置するなどの準備を行います。
また、フォークリフトや台車など、必要な道具を揃えておきます。

【コンテナの封印を切断して開ける】
作業環境が整ったら、コンテナシールという金属製の封印を専用の器具で切断し、コンテナを開けます。
この際に貨物が飛び出してくることがあるため、慎重に行うことが大切です。

【貨物の状態を確認する】
コンテナを開けたら、貨物の状態を確認します。
万一貨物の破損や間違いがあれば、速やかに輸送業者や仕入れ先に連絡する必要があるためです。

【荷降ろしを行う】
貨物の状態に問題がなければ、荷降ろしを行います。
一般的には作業員複数人で、手作業またはフォークリフトなどの機械を使用して貨物をコンテナから取り出します。
取り出した貨物をパレットや台車に載せ、所定の場所まで運びます。

【コンテナ内を清掃する】
荷降ろしが終わったら、コンテナ内を清掃します。
コンテナは輸送業者に返却し、繰り返し使用されるためです。

コンテナ船のデバンニングを行う場所は貨物の種類によって異なる

コンテナ船で輸入された貨物をデバンニングする場合には、作業をする場所が貨物の種類によって異なります。

・FCL(Full Container Load):一荷主の貨物がコンテナを占有している
・LCL(Less than Container Load):複数の荷主の貨物を混載している

コンテナ船で輸入された貨物は、港にあるコンテナヤードという場所に到着します。

FCLの場合は、コンテナヤードで輸入許可が下りた後、そのまま荷主の指定場所まで輸送され、そこでデバンニングを行います。

一方のLCLでは、コンテナヤードに隣接する荷捌き場でデバンニングが行われ輸入許可が下りた後、各荷主へ輸送という流れになります。

このうち、 多くの人がイメージする一般的なデバンニングは、荷主の手配で行われる「FCLの場合のデバンニング」 です。

デバンニングが大変だといわれる3つの理由

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デバンニングは物流において欠かせないものですが、「非常に大変な作業」だといわれることも少なくありません。

デバンニングが大変だといわれる理由には、以下の3つがあります。

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更には、デバンニングには時間制限がかかる場合が多く、その中で安全・確実に行うことが求められるために、より大変さが増すという構図になるのです。

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作業環境が過酷になる

デバンニングが大変な理由のうち最も身近なものは、作業環境が過酷になりやすいということです。

なぜなら、以下のような実態があるからです。

・制限時間内に完了させなければならない
・荷物が多ければその分作業時間が長くなる
・重い貨物もあるため、かなり力を使う
・コンテナと地面・貨物同士などの間の段差で、足場が不安定になる場合がある
・貨物を破損しないように注意を払うという精神労働もある

作業環境が過酷なために担い手が少なく、人手不足になりやすいことから、更に大変さが増すという悪循環も起こってしまいます。

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作業員が事故に遭うリスクがある

作業員が事故に遭うリスクがあるということも、見逃せない問題です。

デバンニングでは、大量の貨物や重い貨物を扱います。また、荷物と作業員の間に段差があり、足場が不安定な状態で作業をしなければならない場合もあります。

そのため、以下のような事故が発生し、作業員が負傷する可能性があるのです。

・荷崩れした貨物が体にあたる
・落下してきた貨物の下敷きになる
・段差の上から転落する
・足場が不安定で足を挫く・転倒する
・フォークリフトと接触する

貨物を破損する場合がある

デバンニングの際には貨物を破損する恐れがあるため、十分に注意しながら作業しなければならないという大変さもあります。

作業中に荷崩れが起きたり、手を滑らせて貨物を落としてしまうことで、貨物の種類によっては不可逆的なダメージを受ける可能性があるのです。

特に、デバンニングに慣れていない作業員の場合には、このような事故が起こりやすくなります。

貨物を破損しては賠償問題に発展する恐れもあるため、慎重に作業することが求められるのです。

デバンニングの方法は自社と外注の2種類

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実際にデバンニングを行うという場合には、以下の2種類の方法のうち、どちらかを選ぶことになります。

・自社スタッフで行う
・外注する

それぞれのメリットとデメリットを踏まえると、以下のような観点で選ぶのがおすすめです。

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それぞれの方法の特徴と選び方について、解説していきます。

デバンニングを自社スタッフで行う方法

デバンニングを自社スタッフで行う方法は、作業員を雇用するということも含めて、自社で人員を確保して作業するというやり方です。

デバンニングを自社スタッフで行う方法には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

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貨物の量が少ない・軽いなど、あまり負担なく作業でき、制限時間をオーバーする心配がないという場合には、自社スタッフでデバンニングしてもよいでしょう。

デバンニングを外注する方法

デバンニングを外注する方法は、専門業者に作業を依頼するというやり方です。

デバンニングを外注する方法には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
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多少コストがかかっても、全てお任せで安全・効率的なデバンニングをしてほしいという場合には、外注がおすすめです。

外注の費用相場は1万5千円~3万円

デバンニングの外注を検討するときに気になるのは、「費用がいくらかかるのか」ということではないでしょうか。

デバンニングを外注する費用の相場は、コンテナの大きさによって異なり、以下のようになります。
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また、以下のようなケースでは割増料金が必要になることが多いです。

・貨物が重い(20kg以上)
・貨物の量が多い(2000ケース以上)
・特殊な貨物(梱包されていないなど)
・付帯作業が必要(仕分けや検品など)

自社と外注のどちらを選ぶべきか

デバンニングのメリット・デメリットや費用を踏まえて、自社と外注のどちらを選ぶべきかを一つの参考としてご提示すると、以下のようになります。
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基本的には、外注費用が用意できるのであれば、できるだけ専門業者に依頼するのがおすすめです。

デバンニングのプロである専門業者は、素人とは比べものにならないほどのスピードで確実に作業してくれます。

例えば少数・軽量といった簡単なデバンニングであれば、自社スタッフで行うという選択肢もありますが、そうでなければ外注した方が、貨物と作業員の安全を守りやすいのです。

安全で効率的なデバンニングを行うためのポイント

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自社スタッフのデバンニングを検討される方へ向けて、安全で効率的に作業するためのポイントをお伝えしておきます。

安全で効率的なデバンニングを行うためには、以下のようなポイントをおさえることをおすすめします。

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それぞれの内容について、解説していきます。

作業員は防護具を着用する

まずは作業員の準備として、以下のような防護具を着用することが大切になります。

・ヘルメット
・作業用グローブ
・安全靴
・肌の出ない服

このような防護具を着用することで、手が滑って貨物を落としたり、靴が引っ掛かって転倒することを防げます。また、貨物が体にあたることがあっても、怪我をしなくて済む確率が上がるのです。

適切な人数の作業員を確保する

デバンニングの際には、適切な人数の作業員を確保するということも大切です。

少ない人数で無理に作業すると、時間オーバーになったり、ミスや怪我の予防に配慮する余裕がなくなる可能性があるからです。

一般的に、荷物を手作業でデバンニングする際にふさわしい作業員の数は以下のようになります。
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※特殊な作業:貨物の種類が多い・検品作業も必要・使用する機械が多いなど

また、作業員を5人以上にしても、作業の流れに渋滞が生じて効率が落ちる場合が多いため、あまり意味がありません。

コンテナと作業場の間の高低差をなくす

デバンニングは、トラックやトレーラーの上にあるコンテナから行う、というケースが多いです。そのために発生するコンテナと作業場との間の高低差をなくすということが、安全性と効率を高めることにつながります。

段差があるままで貨物を作業場に降ろすと、段差の上下で貨物をやりとりすることによる負担が大きく、最悪の場合には貨物や作業員が落下する危険性もあります。

そのため、スロープやステージを設置して、貨物の移動を平面上で行えるようにするのが理想です。

段差がなければフォークリフトがコンテナ内まで入ることが可能になるほか、手作業の場合にも作業員の負担が軽くなります。

ロボットやパワードスーツを活用する

作業員の負担を軽減するために、ロボットやパワードスーツを活用するというのも効果的です。

デバンニングの過酷さとそれに伴う人手不足という問題を解決するために、近年では作業を代行するロボットや人の筋力を補強するパワードスーツの利用が注目されています。

可能であればこれらの機械を導入することで、作業員の事故リスクが低下し、効率的にデバンニングを行うことができるでしょう。

貨物の破損を発見したら速やかに報告する

デバンニング中に貨物の破損を発見した場合には、一度作業を中断し、速やかに関係各所(輸送会社・仕入れ先など)に報告することも欠かせません。

報告を行わずにデバンニングを完了させると、貨物の破損がどの時点で発生したのかがわからず、貨物保険が適用されなくなってしまう可能性があるためです。

デバンニングにおいては、貨物の破損を防ぐというだけではなく、破損を発見したときに正しく対処するということも求められるのです。

コンテナ輸送ではデマレージの発生に注意が必要

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ここまでデバンニングについて解説してきましたが、コンテナ輸送においてはそれ以前に注意しなくてはならないことがあります。

それは、 「デマレージの発生」 です。

デマレージとは、指定の期間内にコンテナを引き取らなかった場合に課せられるペナルティで、発生すると多大な金銭的損失を被ることになるため、その内容をしっかりと理解しておきましょう。

デマレージとは

デマレージとは「超過保管料」のことで、陸揚げされたコンテナがフリータイムを過ぎても引き取られなかった場合に課せられます。

フリータイムとは「無料保管期間」のことで、コンテナをコンテナヤードに無料で保管しておける期間のことです。フリータイムの長さは、利用する航路や船会社等で異なります。

つまり、デバンニングを行うためのコンテナの輸送は、このフリータイムの期間内に済ませる必要があるのです。

デマレージによる損害は大きい

デマレージが発生すると、場合によってはかなり高額な請求を受ける可能性があります。

一般的にデマレージは、コンテナを滞留させる期間が長くなるにつれて、一日当たりの料金が累進的に高くなるように設定されています。

例えば、日本貿易振興機構(ジェトロ)では、以下のようなデマレージ事例を紹介しています。
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この事例で計算すると、もし40フィートのコンテナを10日間滞留してしまった場合には、以下の金額を請求されることになります。

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日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、韓国ソウルから40フィートコンテナを輸送する代金(2021年時点)は600ドルです。

このコンテナを10日間滞留してしまうと、輸送代とほぼ同額のデマレージを支払わなければならないという事態になり、その損害は多大だといえるでしょう。

外部倉庫をうまく使えばコストを抑えることができる

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せっかくコンテナ輸送した商品の売上を脅かすデマレージですが、外部倉庫をうまく使うことで回避することができます。

また、外部倉庫の活用は、輸送コストを抑えることにもつながります。

この章では、以下2つのコストを抑えるための具体的な方法について、解説します。

・デマレージコスト
・輸送コスト

デマレージコスト

デマレージコストを抑えるためには、外部倉庫によって十分な保管スペースを確保するのが効果的です。

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自社倉庫の容量が足りない場合には、デバンニングした貨物を保管しきれないために、なかなかコンテナを引き取れないという事態が起こり、これがデマレージの発生につながります。

しかし、外部倉庫があれば、ひとまず貨物を保管する場所が確保できるため、コンテナ到着後速やかに引き取ることが可能になるのです。

貨物は一旦外部倉庫に保管した後、必要に応じて自社倉庫に移動すれば、デマレージコストに悩まされることはありません。

輸送コスト

外部倉庫があれば、輸送コストも抑えることができます。

なぜなら、外部倉庫によって十分な保管スペースを確保することで、FCL輸送が可能になるからです。
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コンテナの輸送費は、LCLで複数回行うよりも、FCLでまとめて行う方が安価になります。

外部倉庫があれば、「保管場所がないためにLCLしか行えない」という状況を回避し、FCLによって輸送コストを抑えることができます。

外部倉庫をお探しの方はWareXにご相談ください

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デマレージや輸送コストを抑えるために外部倉庫を探したいとお考えの場合には、ぜひWareXにご相談ください。
WareXは、簡単・リーズナブルに外部倉庫を確保できるサービスであり、ご活用いただくことで効率的な輸送とコストカットが実現できます。

WareXとは

WareXとは、シェアリング型の外部倉庫サービスです。

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全国から条件の合う倉庫を一括検索でき、WareXと契約するだけで最短3日後から利用を開始することが可能です。

WareXをご利用いただくことには、以下のようなメリットがあります。

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WareXによってコストを大幅に抑えることができた事例

WareXをうまくご活用いただくと、輸送・保管コストを大幅に抑えることができます。

例えば、以下の「輸入EC事業」の例をご覧ください。

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この場合、WareXの活用によってデマレージを回避するのはもちろんのこと、「海外からのコンテナ輸送費」と「ECプラットフォームの倉庫保管料」もカットできるのです。

■海外からのコンテナ輸送費
WareXで外部倉庫を用意することによって、貨物の保管スペースが十分に確保できるため、FCL輸入が可能になり、LCL輸入に比較してコストを抑えることができます。

■ECプラットフォームの倉庫保管料
ECプラットフォームの倉庫保管料は一般的な倉庫と比べて高めに設定されていることが多いため、「WareXで契約した外部倉庫に貨物を一時保管⇒必要な在庫分だけECプラットフォームの倉庫へ移動」という方法にすれば、保管料を抑えて在庫切れも防ぐことができます。

WareXの活用事例をもっと知りたい方は、以下のボタンから弊社HPをご覧ください。
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このように非常に便利で簡単・リーズナブルなWareXへのお問い合わせは、以下のボタンからどうぞ。
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まとめ

デバンニングとは物流用語で、 「コンテナから貨物を取り出す作業」 のことをいいます。関係者の間では、 「デバン」 と略されることもあります。
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デバンニングは「2時間」という制限時間の中で行わなければならない場合が多く、以下のような理由のために大変な作業だといわれています。

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デバンニングには以下の2種類の方法があります。

・自社スタッフで行う
・外注する

それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、以下のような観点で選びましょう。
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例えば少数・軽量といった簡単なデバンニングであれば、自社スタッフで行うという選択肢もありますが、外注費用が用意できるのであれば、できるだけ専門業者に依頼するのがおすすめです。

デバンニングを外注する費用の相場は、コンテナの大きさによって異なり、以下のようになります。

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自社スタッフでデバンニングを行うという場合には、安全で効率的な作業をするために以下のようなポイントをおさえることが効果的です。

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また、デバンニングにおいては、それ以前の段階である 「コンテナの引き取りにかかわるデマレージの発生」に注意することも必要 です。

このデマレージを回避するためには、外部倉庫によって保管スペースを確保し、速やかにコンテナを引き取るのが効果的です。

また、外部倉庫の活用はFCL輸送を可能にするため、輸送コストを抑えることにもつながります。