物流業には、荷物をエンドユーザーに配送するためのトラック輸送業や、倉庫で荷物を保管・梱包・発送する倉庫業などがあります。どちらも物流において重要な役割を果たし、相互に切り離せない存在です。
近年は物流にもさまざまな課題が生じており、各事業者が解決策を講じる必要に迫られています。
そこで今回は、物流業の仕事や業界の課題、その解決方法まで分かりやすくご紹介します。
国内の物流業は主にトラック輸送業と倉庫業の2種類があります。それぞれの概要や特徴についてご紹介します。
トラック輸送業とは文字通り「トラックで荷物を輸送する業務」のことです。
物流業界には7万5,000以上もの事業者が存在するといわれていますが、全体の8割以上がトラック輸送業で占められています。トラック輸送業の中でも「自家用トラック」と「営業トラック」に大別することができます。自家用トラックは自社の荷物を運搬するトラックであり、営業トラックは第三者の荷物を運搬するトラックのことです。
営業トラックはさらに不特定多数の荷物を運ぶ「一般貨物自動車運送事業」と決められた荷主の荷物だけを運ぶ「特定貨物自動車運送事業」の2種類に分かれており、トラック輸送業全体の7割以上が一般貨物自動車運送事業に該当するとされています。
国内貨物輸送量はトンベースで9割以上がトラックで輸送されているともいわれており、トラック輸送業は国内の輸送において非常に重要な役割を担っているといえるでしょう。
倉庫業とは、「第三者の荷主の荷物を倉庫事業者が引き受け、保管や流通加工、輸送などの物流業務を行うこと」です。
倉庫は自家用倉庫と営業倉庫に分かれています。
自社の荷物を保管するために所有している自社用の倉庫を「自家用倉庫」、倉庫業に該当するのは第三者の荷物を預かって運用する「営業倉庫」と呼びます。
倉庫業は国民生活を支える上で公共性が高いため、国土交通省による認定を受けていなければ事業として運営できないと法律で定められています。倉庫業を営む場合は所定の様式を国土交通省・運輸局に届け出て審査を受け、登録を受けなければなりません。
倉庫業において行われる業務は主に次の5種類です。具体的な仕事内容について解説します。
荷主から預かった荷物を、商品の品質を維持したまま倉庫内で保管する業務のことです。
商品の品質維持に必要な作業は、商品の種類によっても異なります。常温保管をはじめとして冷凍・冷蔵品を保管するためのコールドチェーン、引火性や爆発性などがある商品を保管する危険物倉庫など、あらゆる手段を通じて商品の品質を一定に保つ必要があります。
また、保管業務には在庫管理や商品の保管場所を決めるロケーション管理、入荷日を管理する日付管理なども含まれます。
荷役や「商品の入庫や出庫に伴う一連の業務」のことです。例えば入荷した商品の荷卸しや商品の出荷時に行うピッキング、出荷先別の仕分け作業なども荷役の一部です。
出荷前のラベル貼り付けやラッピング、セット商品の組み立て作業など、商品を出荷できる状態にするためのさまざまな加工作業のことです。出荷の個数に誤りがないかを確認する出荷検品作業なども含まれます。
商品を種類に応じた適切な包材で包装する作業のことです。場合によっては流通加工に含められることもあります。ガラスなどの割れやすい商品を包装する際は、緩衝材などを用いて商品を守る工夫を施す作業なども求められます。
WMS(倉庫管理システム)や在庫管理システムなどを使って、倉庫業務内で生じるさまざまなデータを管理する業務全般を情報管理と呼びます。情報管理を徹底することによって過剰在庫や欠品を防止し、スムーズな入出庫業務を可能にします。
近年、物流業務にはさまざまな課題が生じています。ここでは、代表的な3つの課題について解説します。
少子高齢化が進む現代社会では、人手不足は深刻な課題となっています。
Eコマースの普及などによって物流への需要は国内全体で増加し続けているにもかかわらず、物流業務に携わる人数はそれほど増加していないのが現状です。今後はますます少子高齢化が進んで人手不足も顕著になることが予想されており、人手不足を解消するための対策が急がれています。
働き方改革が注目される中で、物流業界においても働き方の変化が求められるようになりました。
特にトラック運送業においては顕著ですが、物流業界では長時間労働が常態化している企業も多く、これが前述の人手不足を招いている原因のひとつであるともいわれています。
長時間労働の是正や多様な働き方の実現も、物流業界の課題であるといえます。
物流は常に一定ではなく、受注量によって忙しさには差があります。特にSNSなどのリアルタイム性が高いツールが数多く登場した現代では、話題性の上昇などによって急激に受注量が増加する「波動」と呼ばれる現象が発生しやすくなっており、繁忙期や閑散期とは異なる予測できない労働量の変化が起こり得ます。
物流波動にいかにスムーズに対応できる体制を整えられるかという点においても、物流に携わる個々の企業が対応していかなければならない課題といえるでしょう。
物流業における課題を解決するためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは解決するための方法をいくつかご紹介します。
人手不足が深刻化する現状では、今後、急激に労働力が増加することは残念ながら期待できません。
そこで、倉庫にロボットを導入して省力化・省人化を図るのは有効な方法です。
また働き方が変わってきた現代において、これまでアナログで処理していた業務をロボット化することにより、作業フローが標準化されて、だれでも一つひとつの作業をスピーディーに処理できるようになり、属人化せずに最小限の人手で多くの業務を行えるようになります。
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物流波動に対応するためには、自社のキャパシティだけで解決せず、物流業務からシステム管理まで、一連の作業をアウトソーシングするという選択肢もあります。
自社で物流業務を行うと多くのリソースが必要になり、労働力不足の中では満足に業務が回らないリスクがあるでしょう。営業倉庫を専門に運用している事業者へアウトソーシングすることにより、品質を維持しながら業務の効率化が可能になります。
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「スポットで空いている倉庫を探さなければならなくなった」「長期的に空きスペースが出ることになり、空けておくのはもったいない」というニーズを満たせるようになり、荷主様にとっては波動で緊急対応してもらえる倉庫事業者を探す際にも役立ちます。