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【SDGsと農業】世界的に注目を集めているSDGsと農業の関連性について解説!

# 農業
# SDGs
2021-08-02
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「持続可能な開発目標」をあらわすSDGsは、農業とも深い関わりがあります。
環境問題や雇用問題、食糧事情にアプローチできることから、SDGsにおいて農業が果たす役割は大きいといえるでしょう。しかしIT化や物流面など、農業には解決しなければならない問題も数多くあります。
そこで今回は、世界的に注目を集めているSDGsと農業の関連性についてご紹介します。

SDGsとは?

SDGsは日本語で「持続可能な開発目標」とも呼ばれており、社会や環境、教育などさまざまな分野において17個の目標が設定されています。
まずは、SDGsの概要や最も重要ともされる「食」について解説します。

SDGsにある17項目の目標

「Sustainable Development Goals」の略称であり日本語で「持続可能な開発目標」を意味するSDGsは、2015年に国連サミットで採択されました。2016年~2030年の15年をかけて達成することを目標としており、前述のようにさまざまな分野で17項目の目標が設定されています。

17個の目標には貧困、飢餓、健康・福祉、教育の平等など社会的な不平等を根絶するためのものから、先進国でも議論が続くジェンダーの平等に関する目標などがあります。加えて安全な水とトイレを整備することやクリーンなエネルギーを平等に利用できるようにすること、そして海や緑を守り気候変動への対策を取ることなど、環境面の目標があります。

さらには働きがいのある社会と持続的な経済成長を両立することや、産業と技術革新の基盤をつくること、住み続けられる街づくりを実現することなどの「人と産業」に関わるものも目標のひとつです。

世界では人や国における不平等の是正など、平和に関する目標なども設定されています。17個の目標にはさらに細かく169個のターゲットが設定されており、このターゲットをひとつずつクリアしていくことで17個の目標が達成されるという考え方が提唱されています。

SDGsの17項目の目標

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsにおいて最重要課題ともいえる「食」

さまざまな目標が設定されているSDGsですが、その中でも最重要課題といえるのが「食」に関する目標です。
SDGsでは「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」という目標が掲げられており、この2つの目標は食の充実に密接に関係しています。世界の食糧事情が充実すれば少なくとも食の観点から起こる貧困や飢餓は解消されると考えられるため、SDGsの達成に大きく近づくでしょう。

日本でも、農林水産省の食糧産業局が「栄養改善の国際展開」や「食品ロス削減・食品リサイクル」など、SDGs達成のための取り組みを数多く展開しています。
廃棄ロスとは?特に大きな課題の食品ロスの現状-対策をご紹介!

SDGsと農業の関連性

前述の通り世界の食糧事情を改善してSDGsを達成するために、農業の存在は非常に重要です。しかし農業がSDGsの中で果たす役割は、環境問題や雇用問題など他にもあります。
ここでは、SDGsと農業の関連性についてご紹介します。

食料の供給

前述の通り、SDGsと農業の最も深い接点となるのは「食料の供給」だといえます。
SDGsの目標のひとつである「飢餓をゼロに」を達成するために、農業は重要な立ち位置を占めているといえるでしょう。

169個のターゲットの中にも「2030年までに、一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする」という旨の内容が記載されており、飢餓に苦しむ人を世界からなくすための取り組みはSDGsの中でも重要視されています。

環境問題

農業が行われる場所には、必ず自然が存在しています。過剰な農業用地としての開発は土壌の劣化や環境破壊につながるリスクもありますが、農業は自然と共存しなければ維持し続けられない産業であることから、自然に配慮しながら農地を管理し続けることで環境保全につながるといえるでしょう。自然と人間の共存は、「持続可能な社会」の構築を目指すSDGsの目的とも合致しています。

しかし農業の生産性が高まると食料の供給が需要を大幅に上回り、特に先進国においては廃棄ロスなどが環境に悪影響を及ぼす可能性もあります。
17個の目標のひとつである「つくる責任つかう責任」にもあるように、単に生産して終わりではなく、生産した食料が地球に及ぼす影響についても十分に考慮する必要があるといえます。

雇用問題

農業が発展すると、農業に携わる人手が必要になります。このことから農業には雇用を支援する側面もあり、発展途上国など働き口を必要としている世界の国々においては多くの人々の生活を支えています。
SDGsの目標にある「働きがいも経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」には、農業による雇用の創出も関わっているといえるでしょう。工業技術がそれほど発展していない国々では、農業が人々の生業の中心になっているケースもめずらしくありません。

持続可能な社会(SDGs)のために農業ができること

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農業がさまざまな側面からSDGsに関係していることをお伝えしてきましたが、持続可能な社会のために農業ができることはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、具体的な例を5つの観点からご紹介します。

農業の成長産業化

前述の通り、農業には食料の供給や環境の保全、発展途上国における雇用の創出などSDGsが密接に関係しています。そのため農業の成長産業化を推進していくことは、SDGsの達成に近づくために重要であるといえるでしょう。

一方で、日本国内においては人口減少や労働力不足によって農業における人材の確保が難しくなりつつあり、安定的な労働力の確保が課題となっています。
この課題に対応するため、農地の機能向上などをはかりながら、少ない労働力でも生産性の高い農業を可能にして成長産業化を促進するための取り組みが、農林水産省主導で続けられています。

スマート農業の実現

スマート農業とは、IT技術や最新のインフラを活用して、農業の省力化や生産性の向上を実現するための新しい農業のことを指します。

現状の農業は人の手に依存する作業が多く、長い経験を積んでスキルを身につけた農業従事者でなければ遂行できない作業も少なくありません。限られた人にしか遂行できない業務の存在は労働者の負担を増加させるだけでなく、負担感の大きさから農業に従事したいと思う人を減らし、人手不足の原因になる可能性があります。
この状況を打開するのが、AIやIoTの活用によるスマート農業です。IT技術を積極的に活用して人手不足解消や農業従事者一人ひとりの負担削減をはかり、生産性を向上させて需給バランスを改善することが大切です。

農業におけるコスト負担の観点からみると、生産した農産物の保管スペースも負担増の大きな原因となっています。設備投資や人件費の負担を軽減するために、農家や食品企業がシェアリング倉庫サービスを利用して固定費を削減する取り組みもスマート農業のひとつとして効果的です。

環境に配慮したエコ商品

SDGsを達成するためには、環境に配慮したエコ商品を生産することも有効です。
一例として、環境にやさしい生産を行っている生産者に対し「エコファーマー」と認定する制度などが挙げられます。

エコファーマーの審査を通過すると、消費者に「環境に配慮した商品をつくっている生産者である」とアピールすることができます。さらに農業改良資金の特例措置の対象になったり、国から所定の交付金を受けられたりするメリットもあります。

次世代への人材育成

農業を発展させるためには、次世代の人材育成も強化していく必要があります。
国内において農業の担い手は減少しつつありますが、農林水産省でも農業を学ぶための学校教育や研修、雇用の推進などを積極的に行っています。
農業従事者は国が用意した制度を活用しながら、若年層が「農業に携わりたい」と考えるきっかけを提供していくことが大切です。

農作物の物流改善

ドライバー不足や燃料費の高騰などにより、農業の分野においても物流に携わる現場では、重労働が課題になる事もあるようです。
IT技術やロボットなどの導入を積極的に進めることで物流の改善をはかり、コスト削減と労働環境の是正を実現することが重要です。

農業に関わる物流の課題と解決策とは?​

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農業に関わる物流の課題を解決することは、SDGsの達成にも直結するといえるでしょう。
ここでは、物流の課題と解決策をご紹介します。

【課題】納品先までのルート確保と鮮度を保つ工夫​

農作物を遠隔地へ輸送するためには、納品先までのルート確保と鮮度を保つ工夫が必要です。
生鮮品である農作物は遠方になるほど品質低下のリスクが高まるため、適切な輸送ルートを算出して品質を維持できる手段で輸送しなければなりません。

【課題】冷蔵便の手配

生産している農作物の種類によっては、冷蔵便の手配も必要不可欠です。
温度管理を行いながら長距離輸送をするには積み荷の管理を適切に行える管理者が必要になると同時に、冷蔵便を手配するためのコストを削減する工夫が重要になります。

【解決策】共同配送の検討​

これまでの物流は自社配送が基本であり、自社で手配したトラックで目的地まで農作物を輸送する形が一般的でした。しかし近年では農業物流を効率的に行うために、共同配送が積極的に計画されるようになっています。
複数企業の積み荷を1台のトラックにまとめることで積載率を高めてトラック台数を削減し、ドライバー不足の解消やコスト削減も達成できます。

【解決策】モーダルシフト​

トラックドライバーによる輸送ではなく、船や鉄道によって農作物を輸送する「モーダルシフト」も注目されています。トラックに比べてCO2の排出量を削減できることから環境にもやさしく、一度に大量の農作物を輸送できるというメリットもあります。

従来はモーダルシフトの際に冷凍コンテナを使用しなければならず、品質低下の問題がありましたが、冷凍不要で鮮度を維持できるコンテナの開発なども行われており積極的に活用され始めています。

まとめ

SDGsと農業は密接に関わっており、成長産業化やスマート農業の実現が雇用創出や環境の保全、食料の供給などに直結します。しかし農業には物流の課題も大きく関わっており、今後は物流面の改善も重要になっていくでしょう。