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シェアリングエコノミー×倉庫が物流を変える──フィジカルインターネットが実現する“動かせる”倉庫とは

# シェアリング倉庫
# 営業倉庫
# 自家倉庫
2022-01-04
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グローバルでシェアリングエコノミー拡大の流れが続いています。一般社団法人シェアリングエコノミー協会の調査によると、日本の2020年度のシェアリングエコノミー市場規模は2兆円を超えており、2030年度14兆円に上ると推定されています。三菱商事が市場規模を約6.7兆円と推定する倉庫業界は、業界構造的に遊休スペースと物流波動の問題を抱えています。EC市場の拡大により物流アセットが逼迫するなかでも、倉庫スペースの約35%が遊休化していると考えられています。シェアリングエコノミーの進展はこの問題の解決策になる可能性があります。たとえば米国では、Flexe等のスタートアップにより、倉庫と荷主をマッチングするシェアリング倉庫サービスの展開が始まっています。今回は、日本でも黎明期を迎えつつある倉庫アセットのシェアリングサービスについて、その背景と現状を解説します。

グローバルで普及するシェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーとは、企業や個人が所有するモノ、スペース、スキルといった有形資産、無形資産を、インターネット等を介して、必要とする人に提供、共有する新しいサービス形態です。2008年に米国で誕生したAirbnbが先駆者的な存在で、同社は2020年12月に新規上場し、その時価総額は10兆円を超えています。

PitchBookが公開している米国ユニコーン企業の時価総額ランキングによると、フードデリバリー向けのシェアキッチンサービスを提供するCloudKitchensや、住宅業界の専門家マッチングサービスを展開するHouzzがトップ100にランクインするなど、シェアリングエコノミーは市場全体で主流になりつつあります。

一般社団法人シェアリングエコノミー協会の調査によると、日本の2020年度のシェアリングエコノミー市場規模は2兆円を超えており、2030年度14兆円に上ると推定されています。なお、この市場規模は資産・サービス提供者と利用者の間の取引金額と定義しており、プラットフォーマーの売上ではありません。

シェアリングエコノミーのうち、「移動」のシェアではUberが有名です。日本では法規制等があるため、現時点でのUberの普及は限定的ですが、GODiDiなどのタクシー配車サービスは広まりつつあります。これらのタクシー配車サービスは、シェアリングエコノミーというよりは、タクシー会社の配車業務の効率化や、簡易的な決済手段などユーザーの負担を減少させるDXサービスという見方もできます。Uberのように全横断的なアセットシェアをしているわけではないため、厳密な意味ではシェアリングエコノミーサービスといえないかもしれません。

「モノ」のシェアリングで有名なのは、メルカリでしょう。バッグのレンタルサービスであるラクサスや、洋服のサブスクリプションサービスであるairClosetなど、ファッション関連のサブスクリプションサービスも拡大しています。

「スペース」のサブスクリプションサービスは、CtoC、BtoCだけでなく、BtoBまで広がっているのが特徴的です。日本では、レンタルスペースの予約サービスであるスペースマーケットや、駐車場予約ができるakippaが普及してきています。

シェアリングサービスはまずCtoC、BtoCを中心に普及していますが、この流れがBtoB にも広がることは確実で、物流業界でもトラックや倉庫のシェアリングサービスが台頭してきています。

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※出典:一般社団法人シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミー経済規模は過去最高の2兆円超え。新型コロナウイルスで新たな活用の広がり、SDGsへも貢献。」

日本の倉庫業界の現状と課題

倉庫業を営んでいる企業は、日本全国に約6,500社存在します。このうち、年間売上が100億円を超える企業は35社に留まっており、参入が比較的容易で地域性があることから寡占状態になりづらく、規模の小さな企業が多いことが特徴です。

倉庫は、大きく「営業倉庫」と「自家用倉庫」にわかれます。

このうち、第三者貨物を保管するために国土交通省に届け出を行っているのが「営業倉庫」です。「営業倉庫」として登録されるためには、床荷重や壁面強度など、国土交通省が定める一定基準を満たしたうえで、倉庫を登録する必要があります。

国交省への「営業倉庫」登録がなされていない倉庫が「自家用倉庫」です。倉庫業は倉庫業法の適用を受けるため、自家用倉庫で第三者貨物を保管することはできません。

三菱商事では、倉庫の延床面積は、営業倉庫において約5,500万㎡、自家用倉庫において約10,400万㎡と推定しています。倉庫全体で東京ドーム約3,370個分に相当し、市場規模では約6.7兆円にもなる巨大な市場です。
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昨今のEC市場の拡大により、倉庫面積は年々増加傾向にあります。特にEC専用の倉庫は建設ラッシュともいえる状況で、ささげ業務(「撮影」「採寸」「原稿作成」の頭文字をとった略称)や、個人向けの梱包作業、当日配送などの複雑な付帯サービスを求める荷主のニーズが強くなっています。

増加する倉庫スペースやECニーズとは裏腹に、倉庫業界は、季節的な物流波動に悩まされています。たとえば食品業界では、秋口からお餅や鍋つゆなどの季節商材の在庫が膨らみ、冬を越えると在庫量が極端に減少します。物流波動に合わせてフレキシブルに倉庫スペースを手配できればよいのですが、年間を通じて固定坪で倉庫スペースを確保する契約が多く、閑散期には倉庫スペースが遊休化してしまうのです。

三菱商事では、全体の倉庫スペースに対する空きスペースの割合は、営業倉庫で27%、自家用倉庫では40%に達すると推計しています。自家用倉庫の遊休スペースが目立つのは、前述の通り、国交省に倉庫登録がなされておらず第三者貨物を保管できないことが主な理由です。

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倉庫スペースの情報はデータ化やオープン化が十分になされておらず、繁忙期の倉庫手配となると、個々の倉庫会社に電話・メールで逐一問い合わせるなど、アナログ対応を迫られている点も課題です。下請けの倉庫会社は問い合わせを受け、自社倉庫のスペースが満床であれば、知り合いの倉庫会社に問い合わせるなど、下請け/孫請け構造で利益率が低下しやすいことも問題といえるでしょう。

フィジカルインターネットが倉庫スペースの有効活用を可能にする

近年、「フィジカルインターネット」という言葉を耳にします。デジタルインターネットから着想を得たコンセプトで、デジタル信号がパケット化されてルーターを経由して受信者に届く考え方を、フィジカル(物流)に適用したものです。IoT、AI技術、デジタル技術等を活用することで、在庫、倉庫スペース、車両の空き情報などを見える化し、「規格化された容器」に詰められた貨物を、複数企業の物流資産(倉庫やトラック)で保管、輸送する共同輸配送システムを目指しています。

約130の企業・研究機関等が参画するALICE(欧州物流革新協力連盟)は、産学連携をしながら2030年のフィジカルインターネットの実現を目指しています。フィジカルインターネットは欧州で先行する将来の物流の先進的な考え方です。

アセットをシェアしながら、効率よく貨物を保管、輸送することで、トラックの温室効果ガスの排出量削減や倉庫スペースの有効活用が実現でき、サステナブルな物流が実現できると考えられています。SDGsにも通じる考え方で、今後ますます注目されるコンセプトだといえるでしょう。

日本でもフィジカルインターネットの導入が期待されていますが、そのためには「規格化された容器(モジュラー容器)」の標準化が最も重要です。

貨物は主に、パレット(貨物を載せて保管するための専用の荷役台)やケース(段ボール)に格納されて運搬されますが、欧米ではユーロパレットと呼ばれる1200×800mmサイズのパレットが既に標準化されつつあります。対照的に、日本では荷物の特性に応じて様々なサイズ・規格のパレットやケースが使用されており、その数は100種類を超えるといわれています。

「規格化された容器」がなければトラックへの積載効率や倉庫の保管効率が上がらず、アセットをシェアできたとしても、その効果が限定的となります。この課題を解決するために、パレットリース会社や食品流通業界などが連携しながら、パレットやケースサイズの標準化を徐々に進めているというのが日本の現状です。

では、倉庫分野でフィジカルインターネットが実現すると何が起きるのでしょうか?

現在は、物流波動のリスクを回避するために倉庫スペースを固定で余分に手配している荷主企業が少なくありません。倉庫スペースのシェアリングが実現することで、物流波動のボトムの物量分のみ固定倉庫を確保し、ボトムからピーク時の物量については、シェアリング倉庫を用いて、保管費用を変動費化することが可能となります。物流企業や荷主企業の倉庫スペースが簡単にシェアできるようになると、荷主は物流波動に合わせた効率的な倉庫利用が、倉庫事業者は倉庫スペースの有効活用ができるようになるのです

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倉庫スペースの遊休化と物流波動を解決する「シェアリング倉庫サービス」

三菱商事は、倉庫スペースの遊休化と物流波動という課題解決を目指して2021年5月からWareX(ウェアエックス)というシェアリング倉庫サービスを提供しています。このサービスは、シェアリングサービスを倉庫に適用したもので、全国の営業倉庫をオンラインで探して、貨物を預けることが可能となります。シェアリングエコノミーにおける分類では、「スペース」のシェアリングに該当します。

ここで、シェアリング倉庫サービスの特徴について簡単にご紹介します。

オンラインで全国の倉庫情報を確認

倉庫スペースの情報をデータ化、オープン化したことで、オンラインで倉庫情報を確認できます。倉庫のスペックや、保管料、作業料で倉庫同士を比較して、ニーズに合った倉庫を選ぶことができます。

従量課金

シェアリング倉庫の保管料は日割りかつパレット建ての従量課金です。パレット数と保管日数に応じて利用分のみ支払えばよいので、従来の固定坪や10日ごとに保管料を精算する三期制では貨物を預けていなくても発生していた倉庫の固定費用が、変動費化できます。

機器・備品・作業員の手配が不要

シェアリング倉庫サービスには国交省に届け出を行った「営業倉庫」のみが登録されています。「営業倉庫」は第三者貨物を預かることができる種類の倉庫で、通常、入出荷作業は倉庫側で行います。そのため、荷主企業はフォークリフト、収納ラック、作業員などの手配なく貨物を預けることができます。

入出荷依頼や在庫管理がオンラインで完結

従来、入出荷のやり取りはメールやFAXで行われてきました。シェアリング倉庫サービスでは入出庫のやり取りや在庫管理がオンラインで完結できるので、省人化、作業の標準化が期待できます。

従来の倉庫探しでは、
● 倉庫会社に空きスペースの確認
● 見積依頼、価格交渉
● 契約書作成
 というプロセスを倉庫会社ごとに行う必要があり、急な倉庫手配が必要な際に、速やかに最適な倉庫を手配することが容易ではありません。シェアリング倉庫サービスはこれらのプロセスを標準化しており、オンライン上で速やかな手配が可能となります。

次回トラック輸送における、幹線輸送の自動化・機械化について解説します。


WareX を…

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