【これを読めばわかる】サプライチェーンリスク|発生するとどうなる?

# サプライチェーン
# リスク管理
# BCP
2022-06-14
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はじめに

「サプライチェーンリスクが発生するとどうなる?」
「サプライチェーンリスクにはどんな対策をしたらいい?」

サプライチェーンリスクについて、このような疑問をおもちではありませんか?

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サプライチェーンリスクとは、サプライチェーンに支障を来し商品の供給を寸断する恐れがある事象のことをいいます。

サプライチェーンリスクが発生すると、商品の供給が寸断され、金銭的ダメージや顧客離れなどの損害を被ることになります。

そのため、サプライチェーンリスクとは何か、そのうち自社に起こり得るリスクはどれかということをしっかりと把握し、対策を検討しておくことが重要です。

そこでこの記事では、以下について詳しく解説します。

▼サプライチェーンリスクとは
▼サプライチェーンリスクが高い企業の特徴
▼サプライチェーンリスクの事例
▼サプライチェーンリスクへの対策

この記事を読むことで、サプライチェーンリスクとは何かということがよく理解できます。また、事例や対策について知ることで、自社がサプライチェーンリスクにどのように向き合っていくべきなのかということも考えられるようになるでしょう。

サプライチェーンリスクを回避して安定的な経営を続けていくための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

サプライチェーンリスクとは

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まずは、サプライチェーンリスクとは何かということを理解するために、以下の内容を解説します。

・【確認】そもそもサプライチェーンとは?
・サプライチェーンリスクとは何か・その種類や内容
・サプライチェーンリスクが発生するとどうなるか

サプライチェーンとは商品が消費者に届くまでの一連の流れ

サプライチェーンとは、商品が消費者の手元に届くまでの、材料調達・製造・配送・販売といった一連の流れのことをいいます。

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サプライチェーンの概念では、自社だけでなく他社も含めて商品の流れを捉えます。例えば、自社が小売店である場合には、発注先の製造メーカー・卸業者・運送業者など、商品が作られて消費者に届けるという流れに関わる全ての要素(プレーヤー)が重要であるということになります。

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供給が寸断されるサプライチェーンリスクとは

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サプライチェーンリスクとは、サプライチェーンに支障を来し商品の供給を寸断する恐れがある事象のことをいいます。

主なサプライチェーンリスクには、以下のようなものがあります。
サプライチェーン_例.png

このように、サプライチェーンリスクには多くの種類があり、全てを予測するのは困難です。そのため、自社のサプライチェーンの機能や特性に応じて、起こり得る可能性が高いリスクは何かという分析を行うことが重要になります。

サプライチェーンリスクは大きな損害になり得る

サプライチェーンリスクが発生して商品の供給が寸断されると、会社は大きな損害を被る可能性があります。

なぜなら、サプライチェーンリスクが発生した場合には、以下のようなことが起こり得るからです。

・商品を供給できないことによる販売機会の喪失
・供給遅延や停止によるブランドイメージの低下
・ブランドイメージの低下による顧客離れや人材流出
・リスクのリカバリーに対するコスト負担
・リカバリー不能による事業活動の縮小・停止

つまり、サプライチェーンリスクの発生は売上の減少や支出の増加につながり、その金銭的ダメージと需要の減少から、最悪の場合には倒産に至る可能性もゼロではないということです。

サプライチェーンリスクが高くなりやすい企業の特徴

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次に、サプライチェーンリスクが高くなりやすい企業の特徴を見てみましょう。

サプライチェーンリスクが高くなりやすい企業の特徴としては、以下のようなものがあります。自社に当てはまるかも、というものはありませんか?
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サプライチェーンの構造が複雑

サプライチェーンの構造が複雑であればあるほど、サプライチェーンリスクが高くなりがちです。

なぜなら、サプライチェーンの構造が複雑だと、リスクを予測することが難しく、その一方で発生要因も多くなるからです。

例えば、サプライチェーンを構成するプレーヤーが多い場合には、それぞれの業務の状況を把握しきれなくなる可能性があります。これは、プレーヤーが頻繁に入れ替わるという場合も同様です。

また、新商品が頻繁に誕生したり、商品がカスタマイズなどによって標準化されにくいと、製造や販売に関わる業務が煩雑になります。

このような状況の中ではミスが起こりやすいにもかかわらず、注視すべき対象の数や種類が多すぎて予測が難しいということが多いのです。

原材料やエネルギーの価格変動が大きい

事業に不可欠な原材料やエネルギーの価格変動が大きいという場合にも、サプライチェーンリスクが高まります

原材料やエネルギーの価格が高騰しても代替手段がなければ、そのまま購入し続けることが必要になり、財政が圧迫されます。もしそれに対応しきれず、製造や輸送を制限しなくてはならなくなった場合には、需要に見合うだけの供給ができなくなるというわけです。

特に、原材料やエネルギーを輸入に頼っている場合には、予測不能な価格の高騰や為替の影響にも備える必要があるため、注意が必要です。

拠点が一極集中している

製造や販売の拠点が一極集中しているという企業も、サプライチェーンリスクが高いといえます。

なぜなら、一極集中している部分の機能が止まってしまうと、即サプライチェーンも稼働しなくなるからです。

例えば、製造工場が一つしかない場合には、設備不良でラインがストップすれば商品の製造が完全に止まってしまいます。また、一ヶ所の保管倉庫に全ての在庫を集めている場合には、そこで火災が起きれば全ての商品を失うことになるのです。

このように、拠点が分散されていず、代替手段の準備もできていないという状況では、サプライチェーンリスクが発生しやすく被害も大きくなりがちです。

特定のプレーヤーへの依存度が高い

サプライチェーンにおいて、特定のプレーヤーへの依存度が高いという場合にも、サプライチェーンリスクが発生しやすくなります

この理由は拠点の一極集中と同様で、代替手段がない状態で要となるプレーヤーにトラブルが起きると、それが即サプライチェーンの機能停止につながるからです。

例えば、極端な話ですが検品の担当者が一人しかおらず全責任を担っているという場合には、その人が働けない状況になれば商品の出荷が止まってしまいます。また、小規模な運送会社に全ての業務を委託しているという場合には、その会社が経営不振や人員不足に陥ればすぐに配送停止につながることになるのです。

このように、拠点と同様各プレーヤーの役割と責任も、代わりが利くように整備しておく必要があります。

サプライチェーンリスクの事例

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サプライチェーンリスクとはどのようなものか理解できたところで、実際に発生した事例をご紹介します。

自然災害

2016年4月の熊本地震では、多くの製造業の生産拠点が操業停止を余儀なくされました。

そのうち、デジタルカメラや監視カメラ向け画像センサーを製造しているソニーの熊本工場は、壁の崩落や天井の搬送装置が落下するなど、大きな被害を受けました。

その後、従業員総出で工場の復旧を図り、2016年7月末に生産を再開、出荷ベースで震災前の水準に回復したのは9月末で、約半年間は製造数が減少したことになります。

パンデミック

2019年末から発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大によって、多くの企業でサプライチェーンリスクが発生しました。そしてリスクの内容は、製造ラインの停止・物流の遅延・店舗の閉鎖・急激な需要の変化など、多岐に渡ります。

例えば、2022年3月末から始まった上海のロックダウンでは、以下のようなサプライチェーンリスクが発生しています。

・ユニクロが現地全店舗のうち半数を休業
・トヨタ自動車が部品調達難によって国内8工場で最大6日間稼働停止
・NXグループ(物流)ではドライバー不足によって、上海市内と市外を結ぶトラックの動線がほぼ閉鎖

サイバー攻撃

近年、サプライチェーンのうちセキュリティの脆弱な部分を狙ってサイバー攻撃を仕掛けるという手法が増えており、政府も注意喚起しています。

例えば2021年には、富士通が開発した「ProjectWEB」というプロジェクト情報を共有するソフトがサイバー攻撃に遭いました。同ソフトは官公庁や企業などで幅広く使われており、以下のような情報が流出したのです。

・成田国際空港株式会社:成田国際空港の運航情報管理システムに関係する情報
・国土交通省:省の職員や業務でやり取りのある関係者少なくとも7万6000件のメールアドレス
・内閣官房:サイバーセキュリティセンターのシステム機器に関するデータ

このように、サプライチェーンのうち「不正アクセスしやすいソフト」という弱点を狙って、ゆくゆくは関連するプレーヤーから金品を搾取しようとする犯罪が起こっています。

そして、サイバー攻撃に遭った場合には安全に支障がないと判断できるまで当該システムを停止せざるを得なくなり、その間サプライチェーンが寸断されることになります。

紛争・政治的不安定

2022年のロシア・ウクライナ紛争は、サプライチェーンに以下のような多様なリスクをもたらしました。

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サプライチェーンリスクへの3つの対策

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最後に、サプライチェーンリスクにはどのような対策を講じればよいのかということを確認しておきましょう。

サプライチェーンリスクに効果的な対策には、以下の3つがあります。
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サプライチェーンリスクマネジメントを行う

一つ目の方法は、サプライチェーンリスクマネジメントを行うという方法です。

サプライチェーンリスクマネジメントとは、事前にリスクを予測・特定・評価し、その発生や被害を最小限に抑えるために行う活動のことをいいます。

つまり、サプライチェーンリスクマネジメントを行うことで、リスクを未然に防いだり、万一発生した場合にも被害を小さくできるのです。

サプライチェーンリスクマネジメントでは、以下のようなプロセスを経てリスク対策を行います。

・サプライチェーンの現状把握
・リスクの明確化
・リスクのレベル分析
・リスク回避・被害拡大防止のための具体策策定
・対策の訓練と評価・修正

サプライチェーンリスクマネジメントでは、「発生する可能性が高く、発生した場合の被害が大きい」ものから優先的に対策を講じていくことが基本方針になります。

BCPを策定する

二つ目の方法は、BCP(事業継続計画)を策定するという方法です。

BCP(Business Continuity Plan)とは、企業が災害などの危機的状況に置かれた場合に、どのように重要業務を継続するかという具体的な行動指針を決めておく計画のことです。

BCPを策定しておくことは、サプライチェーンリスクが発生した場合にもサプライチェーンを寸断させない、または寸断から早期に復旧できることにつながります。

BCPは、以下のようなプロセスを経て策定します。

・業務の優先度分析
・リスクの明確化
・具体策と発動基準の策定
・社内での共有
・対策の訓練と評価・修正

BCPでは、自社の経営理念や基本方針に適した具体策を立案し、緊急時に社員一人ひとりが適切に動くことができるように浸透させることが重要になります。

代替供給体制を整えておく

三つ目の方法は、代替供給体制を整えておくということです。

厳密には、具体策としてサプライチェーンリスクマネジメントやBCPに含まれる内容ですが、そこまで大がかりなことはできないという場合にもこれだけは行っておきましょう。

なぜなら、サプライチェーンリスクが発生しても、代替手段があれば寸断までには至らないため、その分被害を小さくできるからです。

代替供給体制を整えるということは、簡単に言うとサプライチェーンのプレーヤーについて代わりが利くようにしておくということです。

具体的な方法には、以下のようなものがあります。

・製造や保管の拠点を複数設置する
・同一の役割をもつプレーヤー複数に委託する
・必要時にスポットで契約できるプレーヤーを確保しておく
・販売チャネルのバリエーションを増やす
・汎用性の高い原材料を使用する
・業務マニュアルを整備し、担当者が変わっても同じパフォーマンスを上げられるようにする

現状のサプライチェーンプレーヤー全部に対して代替を確保することは難しいかもしれませんが、最低でも特にリスクが高そうな部分には対策しておくことをおすすめします。

サプライチェーンリスクで重要なのは柔軟性とプレーヤー間の連携

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サプライチェーンリスクによる供給の寸断を避けるために重要なのは、サプライチェーンの柔軟性とプレーヤー間の連携です。

状況に応じてプレーヤーを変更したり構造を簡易化できるような柔軟性のあるサプライチェーンでは、リスクが発生してもリカバリーしやすくなります。

また、プレーヤー間の連携が十分に取れており、お互いの業務内容や状況を理解できていれば、リスクの発生を事前に察知したり、リスクが発生したときにも協同して対処にあたることが可能になるのです。

そのため、サプライチェーンリスクが気になるのであれば、まずは現状のサプライチェーンの在り方を見直してみることをおすすめします。

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まとめ

サプライチェーンとは、商品が消費者の手元に届くまでの、材料調達・製造・配送・販売といった一連の流れです。そしてサプライチェーンリスクとは、サプライチェーンに支障を来し商品の供給を寸断する恐れのある事象のことをいいます。

主なサプライチェーンリスクには以下のようなものがあり、サプライチェーンリスクが発生して商品の供給が寸断されると、会社は大きな損害を被る可能性があります

サプライチェーン_例.png

また、サプライチェーンリスクが高くなりやすい企業の特徴としては、以下のようなものがあります。
サプライチェーンリスクが高い企業の特徴.png

サプライチェーンリスクには様々なものがありますが、この記事では以下の事例をご紹介しました。

・自然災害
・パンデミック
・サイバー攻撃
・紛争・政治的不安定

そして、サプライチェーンリスクに効果的な対策には、以下の3つがあります。
サプライチェーンリスクへの対策.png

サプライチェーンリスクによる供給の寸断を避けるために重要なのは、サプライチェーンの柔軟性とプレーヤー間の連携です。それらについて現状どうなっているのか、まずは自社のサプライチェーンの在り方を見直してみることをおすすめします。