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循環型経済実現の鍵を握る「X次流通」とは──消費者からの発送を促す「ファーストワンマイル」の取り組み

# サプライチェーン
# 輸配送
2022-01-18
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SDGsの達成目標年である2030年まで残り10年を切り、循環型経済(サーキュラーエコノミー)に社会的な注目が集まっています。サーキュラーエコノミー実現に向けた鍵となるのが、従来の「1次流通(新品市場)」と「2次流通(リユース品市場)」では区別できない「X次流通」という多様な流通階層です。連載最終回となる今回は、X次流通の概要と、今後の活性化に着目した各社事例をご紹介します。

消費行動の変化によって生まれた「X次流通」とは?

近年、消費行動は2つの側面で大きく変化しています。1つはオンライン購買への移行促進です。2020年の日本国内における物販系分野の消費者向け電子商取引(EC)市場規模は、前年対比121.7%の12.2兆円と大きく伸長しています。もう1つは、「所有から利用」「コト消費」といった価値観の変容です。ここ数年、「サブスクリプション」「シェアリングサービス」「フリーマーケットアプリ」などのキーワードが急激に浸透し定着しています。消費行動の変化によって流通市場の多層化が進み、従来の「1次流通」「2次流通」のみでは区別することのできない、「X次流通」ともいえる多様な流通階層が生み出されました。

1次流通とは、新品を扱う流通階層です。また、2次流通は、一度消費者の手に渡った商品が、再度市場で販売される商品(リユース品)を扱う流通階層です。2次流通市場は、GEOやブックオフに代表されるような、企業が消費者向けに商取引を行う「B2C」と、メルカリやラクマといったフリマサービスに代表される、消費者同士で商取引を行う「C2C」に大別されます。

ところが近年、以下のように1次流通と2次流通の区別が曖昧な購買行動が広がっています。

・2次流通市場の販売価格をオンラインで調べてから、1次流通の店頭で購入する
・2次流通市場での売却を前提に、1次流通で新品を購入する
・2次流通市場で入手したリユース品を試してから、1次流通で新品を購入する

また、事業者サイドでも、1次流通事業者が新品販売価格を決める際、2次流通市場でのマーケットバリューをベンチマークするケースも広がっています。

さらには、以下のように新たな流通階層も登場しました。これらを総称したのが「X次流通」です。

・0次流通:クラウドファンディング事業など、製品化前の案件の取り扱い
・0.5次流通:新品購入前のトライアルユースを目的としたリユース品購買やレンタルサービス
・1.5次流通:新品購入後の商品返品や非稼働在庫、新古品などの取り扱い
・3次~流通:リユース品の再売却

経済産業省の調査では、購入後1年間に不要となった製品の推定価値は、約7.6兆円にのぼると推定されています。これをX次流通市場とすると、その拡大のためには、自分には不要となったモノを売却する消費者を増加させ、より多くの商品を流通させる必要があります。

売却時には、出品、梱包、発送、その他、多くの作業負荷がかかりますが、中でも物理的な物の移動がともなう発送には多くの労力を要するため、消費者にとって大きなペインポイントになっています。生活者にモノが到達するポイント、つまり、荷物受取である「ラストワンマイル」と対になる部分であり、「ファーストワンマイル」ともいえる発送の利便性向上とペインポイント削減こそが、重要な要素となるのです。

1.5次流通「返品」の需要拡大に対する企業の取り組み

X次流通の中でも、近年注目を集めているのが、1.5次流通にあたる「返品」の市場です。

コロナ禍における外出自粛に対応するために実施した事業者各社のオンライン販売の強化が、EC市場の拡大傾向に拍車をかけ、物販系分野では全ての商品カテゴリーでEC化率が伸長しています。

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出展:経済産業省『令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)』

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出展:経済産業省『令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)』

ただ、実物を手に取らずに購入するECでは、消費者にとって想像と実物のギャップが発生するリスクがともなうため、ECでの購入を躊躇してしまうケースもあります。

このような、購入時の心理的ハードルを下げるためには、返品の自由度を上げることが欠かせません。しかし日本では、事業者ごとに「未開封であること」「購入後7日以内であること」などの多様な返品規則が設けられていることが多く、返品の自由度が高いとはいえません。その結果、日本のEC返品率は10%前後と低水準に留まってしまっています。一方、欧米のEC返品率は20%~30%と高く、複数のサイズ・カラーを纏めて購入し、フィットしなかった商品を纏めて返品するといった、返品前提の購買スタイルが定着しています。

今後のさらなるEC販売強化と消費者の返品需要の高まりを受け、返品物量の増加が予想されますが、それに対応するため、2021年には様々な企業が返品サービスをローンチしています。

2021年8月には、配送事業者であるヤマト運輸が「デジタル返品・発送サービス」をギャップジャパンの公式オンラインストアから開始しました。9月には、小売事業者と既存顧客をつなぐプラットフォームをSaaSモデルで提供するRecustomerが、リピーターマーケティングツールとして返品を捉えた新サービスをローンチし、あわせて総額1.5億円の資金調達も行っています。10月には、大手荷主ポジションであったメルカリが、配送子会社としてメルロジを設立。同社の集荷物流網を広く開放し、「メルカリポスト」を活用した他社EC商品返品等の発送対応を行う計画であることを発表しました。11月には、京王電鉄が沿線の利便性向上を目的とした、鉄道を利用した商品配送実証実験の1つとして、レンタル品やEC商品の返品・返却の受付が可能な三菱商事の「SMARI」を沿線の5駅に導入することを発表しています。

三菱商事が取り組む返品商品のファーストワンマイル改善

消費者のペインポイントを削減するためには、発送の簡便性を高めることが重要です。三菱商事では、返品商品のファーストワンマイル改善のソリューションとして、「SMARI」を展開しています。

既存のローソン店舗に設置したモニター、ラベルプリンター、投函箱が一体となった「SMARIボックス」を使うことで非対面受付・発送を可能としたサービスで、

・既存店舗網と既存物流網を活用することで、新たなCO2排出を抑制
・レジ待ち無し非対面で、わずか十数秒の発送作業
・コード決済や本人認証機能など多彩な機能を具備

という特徴があります。

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SMARIボックス外観

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サービス全体フロー

既存店舗網と既存物流網を活用することで、新たなCO2排出を抑制

ローソン店舗網と既存物流網の戻り便を有効活用しているSMARIでは、おにぎりやお弁当を配送したドライバーが受付荷物を回収し、戻り便に積み込んで配送します。通常は空荷となる戻り便を活用することで、配送コストの抑制に加え、商品回収にともなう新たなCO2排出の抑制を同時に実現しています。

レジ待ち無し非対面で、わずか十数秒の発送作業

消費者は、受付用コードをモニターにかざすだけで受付完了し、プリンターから出力される送り状ラベルを荷物に貼り付けて投函するだけで発送できます。レジに並ぶことなく、送り状に記入する手間もなく返品・発送が十数秒で完了し、送り状ラベルには個人情報が記載されないためプライバシーへの配慮も万全です。さらには、CVS店舗側もレジ対応がないためスタッフの負担がゼロとなります。

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コード決済や本人認証機能など多彩な機能を具備

SMARIの機能は受付・投函だけではなく、PayPayやau PAYなどのコード決済を活用した支払機能や、リユース品取り扱いの際に犯罪収益移転防止法で定められている本人認証(eKYC)機能を具備しており、返品商品ほか、リユース品の買い取り査定や、代金支払いをともなうサービスの受付にも対応しています。

SMARIは、コロナ禍において新たに顕在化した「非対面・短時間発送」という新たな消費者ニーズと、店舗の省人化というニーズを同時に満たしています。その結果、2019年4月時点では約10ヵ所だった設置店が、2021年12月時点で3,000ヵ所以上に拡大しています。今後は関東、関西、中京のローソン店舗以外にも、他小売店舗、さらには住居や駅など、ファーストワンマイルの利便性をより向上させることが可能な生活導線上に展開をしていきます。

SMARIでの返品商品の取り扱いは、X次流通市場活性化に向けた第一歩です。返品のみならず、リユース買い取り、査定依頼、マテリアル回収など、循環型消費社会を支えるサービスの開発と、ファーストワンマイルの利便性を高めることで、サステナブルな社会の実現をリードしていきたいと思います。


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